第118話

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2023/05/30 15:21
少し離れたところに座り、スマホを見ながらコーヒーを飲む姉ちゃんにねぇ、と声を掛ける


『今日2人で出かけない?』


あなた「家族で出掛けんじゃないの?

お父さんそんなこと言ってたけど」


『俺たち2人でも家族でしょ

付いてきて欲しいとこがあんの

行こうよ』


あなた「どこ?」


『着いてからのお楽しみ』


あなた「んーよく分かんないけど…

ん、分かった

後でね」


『うん』


首を傾げてたけど、半ば強引に約束を取り付けた


テレビの方に体勢を戻して、テレビを見るフリをした


勿論内容なんて頭に入ってくるわけなかった


まだ朝の6時なのに、この後どうするかとか、どうやって話を切り出そうとか、


昨日の夜には考えても意味無いなんて思ってたことが急にグルグルと頭を回り出した


コーヒーを飲んで落ち着こうとしたけどダメ。


完全に目が覚めた俺は2人だけの空間に耐えきれなくなってカップを持ったまま部屋に戻った


なるべく普通に。


普通に…。


部屋に入った途端ベッドにダイブして暴れたけど。


(勿論カップはテーブルに置いて)


やばい、ほんとにやばい


言うの?ほんとに?


言うけど、言うけどさ、


いざ言うとなったら急に怖くなった


話すのなんて何時間も先なのに。


え、まだ朝の6時でしょ?


俺なんでこんな早く起きた?


無理、死にそう。


頭の中で何度も色んな想像をしてはやり直し、苦悩し続けた。


とりあえず朝ごはんに呼ばれるまでの2時間。


そして出掛ける時間までの1時間ぐらい。


午前10時


玄関で2人で家を出た


その頃には俺の頭はもう疲れ切っていて、昨日考えてたことなんて頭から飛んでしまっていた。


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