第119話

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2023/05/30 15:35
あなた「…ウ!ラウってば!

どこ行くのって聞いてんだけど!!」


『え?

あ、何?』


あなた「さっきから何回も聞いてんのになんで答えないのよ!!

どこ行くのってば」


『あ、ごめん…

ボーッとしてた

あー、と…付いてきて?』


あなた「もう、しっかりしてよ…」


朝から考えすぎて疲れきったのか、家を出てからの記憶がなかった


緊張しすぎてる、とでもいうのかなんというか…


若干イライラしてる姉ちゃんを見てやばいと思い、途端に思考がハッキリした


俺達が今から行くのは小さい頃よく遊んだ場所を巡る旅


公園とか、コンビニとか、学校とか。


小さい頃の話をしながら、話を進めていこうと思ってた。


…出だしは失敗したから、ここから盛り返さないと


不機嫌な姉ちゃんを連れてとりあえず遠いとこから攻めることにした


ってことで着いたのが1つ目の公園。


『ねぇ、ここ覚えてる?』


あなた「んー…、うん!

え、懐かし〜!

最近ここ通ってなかったから忘れてたけど…変わってないもんだね〜」


『ちょっと綺麗になってない?』


あなた「えーでもあの辺とか変わってないし!

懐かしー…」


さっきまでの機嫌の悪さはどこへ行ったかのように、懐かしさで公園の中を見回していた


姉ちゃんがこういう思い出系が好きなのは知ってたから、この反応も予想通りだった


あなた「あそこでラウが石に頭ぶつけて泣いたの覚えてる!

あの時私もどうしていいか分かんなくて泣いたっけな〜」


『近くにいた人が助けてくれたやつね

母さんに電話したら急いで来てくれて病院連れてかれたっけ』


あなた「そうそう!!

そしたらただのかすり傷です〜って…

頭だから血が出てただけで何ともなくて良かったよねぇ」


『ほんとにね』


そんな話だったっけ…ぐらいの曖昧な記憶だったけど、姉ちゃんは楽しそうに話してた


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