お腹がいっぱいになり
イソップくんも満足そうだ
私はビクターからもらった質問の答えを少し考える
余った紅茶を一口飲んでから答える
いつの間にかイソップくんは私の膝から降りていて
ウィックの頭を撫でていた
ウィックは小刻みに尻尾を振る
どうやら喜んでいるらしい
イソップくんは私にしゃがめと言わんばかりに手を伸ばす
私はフードを外し
小さい体に合わせてしゃがむと
イソップくんは頭を左右に撫でた
イソップくんの頭を撫で返す
すると今度はビクターの所へ行き
同じようにしゃがめと言わんばかりの仕草をする
ビクターは少し驚いた顔をすると
頬を赤らめながらイソップくんに撫でてもらった
そしてビクターもお返しのなでなでをする
そんな二人を見ながら
まだ熱を持った紅茶を口につけた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!