第52話

49杯目 あの時のように
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2026/08/28 09:00 更新





ナイト
おーい?
ナイト
そこで寝ると風邪引くぞ〜

???
ぇ……?





そこには、一体どれだけここにいたのだろうか、


虚ろな目をした少年の姿があった。


しゃがんで、目線を合わせて話してみる。




ナイト
ぼく、ホストやってるんだけどさ
ナイト
今から店来ない?
ナイト
銭湯も美味い飯もあるからさ
ナイト
みんな悪いようにはしないよ





少年は狐につままれたかのような顔をして


口をぱくぱくさせる。





無理もないよな。


ホストにこんな慈善活動してるなんてイメージ、


ないだろうし。





???
……………………行きます

ナイト
よし、ついておいで





ぼくが手を差し伸べるとおそるおそるだが


手を取ってくれて、


少し安心する。





まずはこの子に、


美味しいご飯を食べさせてあげなければ。









ナイト
ついたよ

???
すごい、きらきら……





少年は、ホストクラブの非現実的なハレの空間に


目をきらきらさせている。





当時のぼくみたいに何も感じられない体に


なってなくてよかったな、と思いながら


とりあえずスタッフルームに向かう。




ナイト
オーナー、いますか〜





スタッフルームに入ってそう声をかけても、


オーナーの反応はない。


その代わり、黒服3人が事務作業をしていた。




黒服3
オーナーならもう帰ったで〜
黒服1
どうしたんですか、ナイトさん?
黒服2
忘れ物しちゃったぁ〜?

ナイト
あ、黒服の皆さん
ナイト
実はまた男の子拾ってきちゃって……

黒服3
へぇ、見せてみ





そう言って黒服の一人が


ぼくの後ろにいる少年をまじまじと見つめている。


少年は少し怯えている様子だった。




ナイト
あの、怯えてるんで……

黒服3
おう、ごめんなぁ

ナイト
この子の様子見ててもらえませんか?
ナイト
ぼくはちょっとあっちの方に

黒服1
承知しました
黒服2
ぼっちゃんどしたのぉ? 一緒にお話しよ〜






少年はちょっと怯みながらも、


少しずつ口を開き始めた。


その様子を見てほっとしながら、


酒やら食品やらが収納されている


キッチンスペースに向かう。




ナイト
さて、レトルトカレーは……っと








そういえば、ぼくが初めてこのお店に来たとき


オーナーが出してくれたカレーは


買いだめしているレトルトカレーだった。







あのカレーはなんですかって聞いたら、


オーナーに笑われちゃったけどね。


恥ずかしい恥ずかしい。









ナイト
……でもやっぱり、疲れた心身にはカレーが効くんだよな









???
……はい、えーと……





お、話してる話してる。


よかった、あの3人がいて。





この店に来る人はキャストも客も


もれなくみんなどこかしらに欠陥があるから、


黒服もそれなりのコミュニケーション能力が


ないとやってけないんだよなぁ。






……なーんてことを、この前関西人の黒服と


お茶をしばきに行った時に言ってたっけな。




ナイト
お待たせ
ナイト
はい、食べな

???
いいんですか!?
???
でも、お金……

ナイト
いいよいいよ
ナイト
これぐらいでお金なんて取らないから
ナイト
いっぱい食べな、おかわりもあるよ




一瞬ちょっと申し訳なさそうな顔をして、


でもやはりお腹が空いていたのだろう


1口、また1口とカレーを口に運ぶ。


そんな少年の目には、涙が溜まっていた。




???
おいしい、
???
おいしいですっ……!

ナイト
……よかった
ナイト
んで、
ナイト
どうしてあんなところにいたの?

???
えと……





少年は言いづらそうに口をもごもごする。


……そりゃそうだよな、


大抵の人はルスクみたいに飽きて家出したり


しないもんな。





黒服1
この子、父親が酒癖とても悪いんですって

ナイト
あぁ……




……なんとなく察してしまった。




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