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第1話

独り
2,163
2019/11/16 13:09
あなた
あなた
お母さん……。
目の前にいる、周りがお花で囲まれたお母さんに話しかける。
「どうする?あの子。」
「やーよ。家は精一杯だもの。」
「旦那さんにも逃げられて、娘は不幸ね。」
「あの子、涙さえ流していない。心がないのかしら。」
あなた
あなた
心がない……かぁ。
生憎、涙は出ない。

















そんなに母親を愛してはいなかったのだろうか。









毎日ご飯を作ってくれて、学校でのお話を一緒にして、一緒に大掃除をしたり。

























大好きなはずなのに。
涙がでない。
友達がいない私にとっては唯一の理解者だったのに。
あなた
あなた
ありがとう。
冷たい母親の顔を優しく触りながら言う。
どうせ私を引き取る人はいないだろうと見かねて場をあとにする。
あなた
あなた
これから一人暮らしかぁ。
本当の一人ぼっちだな。
あなた
あなた
はは。何しよう。
新しいお洋服でも買おうかな!
帰り道に足取りを軽くしながら楽しげに独り言を話す私。
あなた
あなた
お母さんも誰もいなから、お金沢山余ってるじゃん!余ってる……。
あなた
あなた
うぅ……。お母っ……さん!
その場にペタンと座り込み、さっき出なかった涙が溢れ出てくる。
ここじゃ迷惑だ。と何とか家に帰り、家に帰ってもその格好のまま誰もいない部屋で独り、大声で泣いていた。

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