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第2話

第1話
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2025/09/17 13:51 更新








第1話

――1897、当時10歳――

「あなたの下の名前。」
『はい父様。』
「……お前は強くなりたいと思うか?」
『戦いは……あまり好みません。』
「今日から私との稽古を始めよう。……嫌ではないか?」
『……強くなった時の力の使い道が分かりません。』
「そうか……。それも丸ごと教えよう。」


――朝――


……なんだ。夢か。
珍しいものだな、死人が夢に出るなんて。
今日も天気が良い、私を皮肉っているかのように。朝からこんな気分に苛まれるとは……。
父に代わり、第七師団に入隊し今では特務曹長となった。父は今の私を見てどう思うのだろう。
……そんなことを考えている暇があるならさっさと仕事をしよう。


本日の主な仕事内容は訓練の指導に兵士の服務指導、規律の見直しだ。それ以外に細かい仕事もあるが……。まぁ、頑張りますか。


私は当番卒関係なく、毎日、朝昼晩と飯を作っている。実は味見と言いつつも、つまみ食いができるからとても良い。約1週間くらいで当番卒が交代される。まぁ、大体は同じ面子なのだが。


訓練の指導は歩兵操典ほへいそうてんに従って行われる。本日は
「第三節 着剣、脱剣、小銃及び軽機関銃の弾薬の装填、抽出 第四節 射撃 第五節 手榴弾の投擲とうてき
を行う。それらで三十年式歩兵銃や銃剣である、ゴボウ剣の不備などがあった場合、厳しく取り締まる。


ここで私は他の兵士より早めに切り上げ、菊田特務曹長に交代する。何故なら、昼食の準備をしなくてはならないからだ。
美味い飯がなくては兵士の身体が休まらない……。たった飯の時間と思うかもしれないが、これが唯一の休み時間なのだ。


飯を食い、寝台の準備が終わったら、次は午後の演習だ。
やはり、射撃を苦手とする者が多いため、今日は午後の演習でもう一度行う。
それが終わったら、服務指導。この時に兵士の悩みやストレスを迅速に把握した上で、適切なサポートを行う。
それに、座学や悪天候の場合に屋内訓練などの教育訓練をする。教育訓練が終わったら兵士は入浴しに行く。


私は兵士が風呂に入っている間、晩飯の準備。晩飯の準備をしながら頭の中で規律を見直し、見直したものを紙にまとめて上司に提出する。


その後、数人の兵士の日記を確認し、印をつけたら私はやっと風呂に入る。そして寝る。
これで私の忙しい1日が終わるのだ。


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