第6話

第5話 楽屋
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2024/07/02 13:25
末澤side


……無事、ミスもなく終わった…



「誠也くんっ」

佐野が声を掛けてくる

「ん、佐野どした?」

「お疲れ様ですっ!!
ほんまに凄かった、、!!」

きらきらとした表情でこちらを眺めてくる

「んふ、笑
ありがと、笑
……晶哉も、お疲れ様、笑」


「はい、笑


……ってえ?!い、今っ、!!」

いい感じのリアクションしてくれておもろいな、笑笑


「慣れるまでは苗字で、な?笑」


「は、はい、、っ」

今にも泣きそうなほどのきゅるきゅるな目で返事をしてくる、


「、晶哉、ちょっといい?」

小島さんが声を掛ける


「…小島くん、どうしたん?」


「耳、貸して、」

よっぽど聞かれたくないことなのかなと思い、少し離れた椅子に移動する、

小島さんの前を通った時、ふわっといい香りがした


………あの匂いがした

、やっぱ同じ匂いなんかな、

ふと後ろを見ると小島さんと佐野さんがぐっと距離を近づけて話をしている、

小島さんと目が合う、


「、!」

笑顔でこちらを見てくれたが、なんだか目が笑っていなかった


もやもやして佐野の所に戻ろうとする



「……今日、か」


「おん、駄目?」


「……家、?」

「うん」

「分かった、一旦荷物置いてから…行く」

「ん、ありがとっ」



なんだか聞いていはいけないものを聞いてしまった、




「、さの、」


「ん?どーしました?」

いつもと変わらない表情でこちらに笑顔を向けてくる

「……えっと、今日…電話、する、?」


分かりきった答えに微かな希望を込めて訊ねる



「……あー…今日は」

佐野が少し戸惑った表情でこちらを見てくる


「…ちょっと予定があって、無理かもしれないです、
……誘ってくれたのにごめんなさい、」



……分かってたことなのに何でこんなに胸が苦しいんだ



「そっか、…了解、」


辛くて力を抜いたら涙が零れ落ちてしまいそうで
手にぐっと力を込めてその場を立ち去る、


……今日は追いかけてくれない



外に出ると大雨が降っていた


「…さっきまで、あんな晴れてたのに」


……なんでこんな苦しいんやろ、









…そっか、


「俺…佐野のこと、…」


……好き、なんや、



傘を持たずにぼーっとその場に立ち尽くしていると、
そっと現れた影が濡れないように、と俺の身体を引き寄せる


「、え、」


「…大丈夫ですか、?
末澤さん、」



そこに居たのは、正門さんだった、

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