私が悪いことをするたびにカイトから殴られた。
そして私は" 目隠し "をつけられた。
呪文のように毎日言われた。何日も何日も。嫌という程聞かされ続けた私は、目が見えることすら忘れてしまった。
そうしてカイトとの生活が始まった。
カイトはいつだって私のことを1番に考えて動いてくれる。
ご飯もお風呂もカイトがいないとできない。
今だって、カイトがいないと鎖は外れない。ベッドから降りることすらできない。
私は首を振った。
親の言う事を守る子どものように、私はカイトの言う事を守る。だってそうしないと殴られるから。怒られるから。
私はカイトがいないと何もできない。
そんな会話をしている合間に、玄関が開く音がした。入ってきた足音はこちらに向かって音が大きくなる。
そして部屋の扉が開いた。
カイトは焦った顔をして、私の前に座った。まるであの人から私を守ってくれるように。
やっぱりカイトは優しい。
そう言って大きい手で優しく頭を撫でてくれた。
カイトは温かいな。
カイトの背中を抱きしめ、顔を埋める。
視界が真っ黒になった 。
数分後、1人の影が消えた。
最後まで名残惜しそうに私の名前を呼んでいた。きっと記憶がなくなる前はあの人のことを知っていたんだと思う。
でも今の私はあの人を知らない。
『 どうせ要らない記憶だから消えてしまったんだ 』
たったそれだけのこと。
顔を上げると優しい笑顔のカイトがこちらを見つめていた。
申し訳なさそうにすふカイトに首を振った。
そう言うと嬉しそうな顔をする。
カイトはそんなにも感情が豊かなんだな。
私たちはまた新しい生活をスタートさせた。
-END-
この後あとがき出します✋

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。