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第1話

へいぼ〜んな日常!
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2026/02/08 18:23 更新
学校の1日で皆が好きな瞬間はどれだろうか…?
そう、下校する瞬間である。(異論は認める)
如月優未
……ねぇ、2人とも。
学校の帰り道、ふと…優未が横断歩道の脇にある看板を見つめて立ち止まった。
如月柚珠奈
何ですか、優未さん。急に改まって…
如月優未
あそこの看板……
『頭上注意』って書いてある。
如月優未
もしかして、あそこを歩けば……
鉄骨とか降ってくるのかな?
​優未の瞳は、事故死の可能性を見出した瞬間に輝き始めた。
何故…事故死を予想すると希望みたいな何かを抱くのか…
それは…
この子が不慮の死を期待している女子高生だからだ…!
如月柚珠奈
降ってきませんよ。
柚珠奈が即座に、事務的なトーンで否定した。
如月柚珠奈
あそこの看板は…付け替え工事の看板です。
万が一、鉄骨が落ちてきたとしても。
如月柚珠奈
私の計算では…貴方に直撃する前に…
如月柚珠奈
私が蹴りで鉄骨の軌道をずらしますので…。
あと……由奈。
如月由奈
( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”……ふぇ? なに、柚珠奈。
たい焼きを口に加えたまま由奈が顔を向ける。
如月柚珠奈
貴方…
優未さんが看板を見つめた瞬間に…
如月柚珠奈
無意識に優未さんの足元にクッション魔法陣を展開するのをやめなさい。
如月柚珠奈
まだ何も起きていません…。
如月由奈
だって! 優未が急に立ち止まるから…
転んで…頭とか打ったら大変でしょ!?
如月柚珠奈
過保護を通り過ぎすぎてますよ。
​優未は少し残念そうにため息をついて、また歩き出す。
如月優未
(´•ω•`)うーん…
如月優未
……そっか。
やっぱり、そう簡単にはいかないよね。
如月優未
あ、あそこの野良猫。凄く鋭い爪してるよね…
如月優未
あの爪で私の頸動脈を切ってくれるのかな…
如月由奈
優未ちゃん…!?
猫はそんな怖い事しないよ…?
如月由奈
ほら…私がマタタビの粉で懐かせたお陰で…
ゴロゴロ言って大人しくしてるよ!
如月柚珠奈
……由奈、
優未さんの周囲にある死因の可能性を片っ端から潰して歩くのをやめてくれませんか。
如月柚珠奈
控えめに言って、不審者ですよ。
如月由奈
柚珠奈だって! 
さっきから何なの、その手に持ってる沢山の小さな石は…!
如月柚珠奈
これは…
優未さんが歩く先にある障害物を事前に…
弾き飛ばす為の投石ですが。何か?
如月由奈
柚珠奈も人の事言えないじゃん…!
​優未は…二人の言い合いを横目に、
リュックの御守りをぎゅっと握りしめた。
如月優未
……二人とも、本当に優しいね。
如月優未
私なんかの為にここまでしてくれるなんて…
2人は優しいね。
如月優未
……でも、そんなに一生懸命守ってくれると…
死ぬタイミングが難しくて困っちゃうよ…
如月由奈
いや、死なせないよ…!?
如月柚珠奈
いや、死なせませんよ…!?
二人の声が重なり、言葉が夕方の街に溶け込む。
如月優未
…じゃあ、せめて。
今日の夕飯の唐揚げが、喉に詰まって……
如月柚珠奈
よく噛んで食べてください…はい、これ。
喉に詰まった時用の…
如月柚珠奈
超高粘度&高吸収を兼ね備えた麦茶です。
これで流し込みなさい。
如月由奈
……柚珠奈、それもう飲み物じゃなくて…
液体のゼリーじゃない…?
如月由奈
あ、優未! 見てみて!
あっちに新しいケーキ屋さんが……!
.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。.
自分の死因を探す少女とそれを絶対に阻止する2人の…
ほんわかな日常は…これからも続いていく〜。

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