ガッツリ久々な投稿です。
完結までよろしくお願いいたします😎。
教室の扉を開ければ、悟の席に九条が座っていた。
色のない白い瞳で、私を見つめていた。
いや、睨んでいるのか。
九条は私の問いかけに答えず、そのまま私から目を逸らした。
さて、迷子としてもどこからどこの範囲を探すのか……。
ましてや、誘拐などされればたまったものじゃない。
九条が色の無い目で問う。
迷子の年格好は、まだ教えられていなかった。
何故彼は、分かったのだろうか。
そう言うと、数秒消えた後、戻ってきた。
今度は、女の子を隣に携えて。
彼は、無表情な男だった。
笑顔は勿論だが、怒った顔も、哀しむ顔も、焦る顔も見たことがない。
不機嫌な顔は、いつもの事だが。
それでも、彼は強い。
一度等級を聞いたときには、「特級」だと嫌そうな顔をして言っていた。
ただ、彼の生徒証明書には、等級が三級と記されていた。
彼は私の疑問に気付いていただろうに、それを答えることはしなかった。
彼としばらく任務を共にする中で、彼は私の名前を呼んでくれるようになった。
九条は、用がある時にしか話しかけては来ない。
用がなければ、例え廊下ですれ違おうとも、目線すら向けてはくれない。
珍しいことだった。
彼が用もないのに人を呼ぶなんて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。