第161話

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2026/02/20 13:00 更新
「いーの、伝える気ないから」
コハク
コハク
あなたはイタズラっ子のような表情でそう言った
私はそれがどうにも腑に落ちない
コハク
コハク
(あなたは…)
相手を待つほど、消極的な性格ではなかった筈だが…





あさぎりゲン
あさぎりゲン
あっ、コハクちゃん!
暫く悶々と考えていると、廊下の向こうからゲンが小走りでやって来た
コハク
コハク
ゲン
あさぎりゲン
あさぎりゲン
あなたちゃん見なかった?千空ちゃんが呼んでこいって
なるほど、大方復興の話だろう
コハク
コハク
あなたなら先程少し話したが…おそらくは部屋に戻ったと思うぞ
あさぎりゲン
あさぎりゲン
ありがとー

コハク
コハク
…!
ガシッ、
立ち去ろうとするゲンの肩を掴んで引き止める
あさぎりゲン
あさぎりゲン
えっ何なに

コハク
コハク
龍水、暇そうだな
奇遇な事に龍水が通りかかったのを見つけたのだ
七海龍水
七海龍水
貴様らの方が暇そうだが…

コハク
コハク
ハ!何を言う、私もゲンもめっぽう忙しいぞ
口から出任せ、ゲンが隣で目を白黒させている
コハク
コハク
そこであなたを呼びに行くのを頼まれてくれないか?
他でもないあなただ、断られはしないだろう
あさぎりゲン
あさぎりゲン
(あ〜…ね、そゆこと♪)
あさぎりゲン
あさぎりゲン
千空ちゃんがあなたちゃんのこと探してたんだけど、
あさぎりゲン
あさぎりゲン
俺ってゴイスー多忙だから…
コハク
コハク
私もルリ姉と先約があってな…
ほとんどが嘘だし、色々と怪しすぎるが、
七海龍水
七海龍水
フゥン、いいだろう
まぁ良しとしよう



















ぴちゃん、と浅瀬に手を沈めて水を弄ぶ
(なまえ)
あなた
(情けな…)
あれだけキラキラと輝いて、私を死に誘っていた海は、
もう魅力的には見えなかった
(なまえ)
あなた
(覚悟は、決めた筈なんだけどな…)










七海龍水
七海龍水
(居ないのか…)
あなたの部屋へ訪れてみたが、扉をノックしても返事はない
それに…鍵が開いている
本人の了承なく女性の部屋に入るなど、無粋を承知で足を踏み入れた
船乗りの勘が、今すぐ確認しろと警鐘を鳴らしている

中は、まるで生活感がなかった
物が少なすぎる、整理整頓されすぎている
どんなミニマリストで綺麗好きでもここまで生活感なく出来るだろうか

それから特徴的なのはテーブルに置かれた楽譜だ
彼女の本職はシンガーソングライター、楽譜があること自体は何ら不思議ではないが
やけに綺麗に整えられている


誰でも入れるように鍵は開いていて、中は整頓されて物が少ない割に、見てくれとでも言うように堂々と楽譜が置かれて

部屋の全てが、違和感の塊だった

































ぱしゃん、ぱしゃん、とカウントダウンのように水面を揺らす

どんどん足に触れる海水が高くなっていく

心臓が意味分かんないくらい暴れて、息が浅くなる

フゥ…と肺に残った空気を吐き出して、私は頭のてっぺんまで海に浸かった











苦しい、苦しい…苦しい。
息が出来ない。

それでいい、
あの男の血が流れるこの肉体の罪ごと、海に洗われて
もしもまた、この世に生まれて来られるのなら
その時は絶対、君を見つけ出して
「すっと、ずっと好きだった」と伝えさせて

 #こんなめんどくさい女、君は嫌かなぁ…

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