もうだいぶ下校時間から時間が経っていて、そろそろ帰らなきゃ行けないな、なんて思っていたはず
ただもう少し終わらせたいものがあるから少しだけ……なんて思ってたら遅い時間になってしまった。
雨雲レーダーでは降水確率85%…走って帰ればなんとかなる!なんてどこからが湧き出てくる自信のおかげで足を進めた。
それから歩いて数分、雨がぽたぽたと少し降り出したと思うと雨雲から大粒の雨が頭上から降ってきて
ザー、という音と共に大雨が降り出した。
なんていう私の言葉も雨の音でかき消されてしまう。
言葉が詰まって見えたその先には花京院くんが傘をさしてジャージでジュースを買っていた。
なんて思って手を大きく降ると、何故かこちらに気づき目を見開かれる。
かと思うとすぐジュースを取り出してこちらに走ってくる。
そう言うと私の冷えた手を優しく包んでから引っ張って私のことを家までリードしてくれる
そう言うと「そうかい」と嬉しそうに前髪らしきものをフワフワと浮かせて歩く。
あの前髪。凄い可愛らしい。
何に笑っていたのか考えては自分のふわふわ浮いている前髪を掴んで顔を茹でダコみたいに真っ赤にして赤面してしまう。
そう言うと、硬直しては息を吐きしゃがみこんで悶絶してしまう。
あれ、ウブ……?
花京院くんの顔を覗いて大丈夫?と聞こうとしたその時。
変に唇に感触があって目を開くと花京院くんが口角をあげて意地悪そうな顔をしていた。
次は私が顔に熱が集まって、さっきの花京院くんみたいに顔が茹でダコみたいに真っ赤に赤面しているであろう。
そう言ってさっきより冷えが収まった手を優しく包み込んでは嬉しそうにする花京院くん。私の手を引いてまたエスコートしながら歩いてくれる。
やっぱりこの瞬間が1番の幸せかもしれない。
━━━━━━━━━━━━━━━
恋愛センス無さすぎてしぬ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。