第32話

祐一は知っている
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2024/12/31 05:22 更新
大沢和馬
彩、帰ろう。
小野寺彩
うん・・・。
 朝の出来事のせいか、私は複雑な気持ちになっていた。
大沢和馬
体調悪ぃのか?
小野寺彩
そんなんじゃないけど・・・。
小野寺彩
大沢くんは、鈴香のことどう思う?
大沢和馬
どう思うって・・・、嫌いだな。
大沢和馬
彩こそ、殴られたりしてただろ?嫌いじゃないのか?
小野寺彩
うん。最初は嫌いだったけど、なんか可哀想に思えてきちゃって。
大沢和馬
何で?
 私は昨日聞いた、倉本兄妹の過去を一通り説明した。
大沢和馬
だから何だよ。親がいなければ、人を殴っても良いのか?
小野寺彩
・・・えっ?
いや、そういう事じゃなくて・・・。
 は?急に、なにキレてんの?
小野寺彩
だいたい、大沢くんだってヤンキーじゃん。人、殴ってるよね?
大沢和馬
は?
大沢和馬
お前だって、俺の家の事情を知らないくせに。
小野寺彩
・・・え?
大沢和馬
ッチ。もういい。
 大沢くんはくるっと背を向けると1人で帰ってしまった。
 でも、追いかけようとは思わなかった。今、追いかけたって、また言い争いになるだけだから。
小野寺彩
(大沢くんと・・・喧嘩しちゃった!?)
小野寺彩
(どうしよう!?)
 ヤンキーと喧嘩したなんて初めてだよ・・・。
 組織の人に殺されるかも・・・。
小野寺彩
(いやでもあれは、喧嘩というよりは言い争いだし・・・。・・・それも喧嘩か。)
 考えながら歩いていると、いつの間にか廃工場の近くに来ていた。
小野寺彩
・・・ん?鈴香・・・?
 鈴香は広い空き地のど真ん中に座っていた。
小野寺彩
何してるんだろ・・・?
小野寺彩
ん?
 空き地の端の方に看板が立っていた。

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「パンケーキ shop」建設予定地
○○建築株式会社
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小野寺彩
(これが千紗の言ってた・・・。)
倉本鈴香
小野寺?何してんの?
小野寺彩
うわっ!?
倉本鈴香
うわっ!?じゃねぇよ。
小野寺彩
鈴香こそ、こんなところに座って何してるの?
倉本鈴香
いや、アタシは・・・。
小野寺彩
??
小野寺彩
・・・鈴香、泣いてる?
倉本鈴香
は?泣いてねぇし。
小野寺彩
え?目、赤いよ?腫れてるし・・・。
倉本鈴香
・・・そんなんじゃねぇし。
倉本鈴香
ってか、千紗といつの間に仲良くなった?
小野寺彩
仲良くなったというか・・・向こうから話しかけてきたから・・・。
倉本鈴香
・・・あっそ。
小野寺彩
なんかごめん。
倉本鈴香
別に。お前らのことなんかどうでも良いし。
倉本祐一
おーい!鈴香ー!
倉本鈴香
兄ちゃんー!
小野寺彩
・・・あ。
 倉本祐一はこちらに向かってくる。
倉本祐一
ん?お前・・・。
倉本祐一
あっ。和馬の彼女か。
小野寺彩
・・・・・。
倉本鈴香
兄ちゃんー。早く帰ろー。
倉本祐一
悪ぃ。俺はまだ用があって。先帰ってろ。
倉本鈴香
何よ。用って。
倉本祐一
今度、組織で大事な取引があるみてぇなんだ。そのことでな。
倉本鈴香
ふーん。
小野寺彩
・・・・・!取引・・・ですか?
倉本鈴香
あ?
 美咲から聞いたばっかりのその言葉に思わず声が出てしまう。
倉本祐一
何だ?知ってるのか?
小野寺彩
あっ、いや・・・その・・・。
倉本祐一
和馬から聞いたのか?
小野寺彩
まぁ・・・そんな感じ・・・。
 今、この場に大沢くんはいないけど、少しでも情報収集しよう!!
小野寺彩
あの・・・!!取引の内容って分かりますか?
倉本祐一
俺もよく分かんねぇんだ。一緒に来るか?
小野寺彩
・・・行きます。
倉本祐一
鈴香は帰ってろ。
倉本鈴香
はーい。
 私達は鈴香の後ろ姿を見送った。
倉本祐一
・・・行くか。
小野寺彩
・・・はい。
 私はこっそりと大沢くんにメッセージを送った。
 廃工場に来るようにと。

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