それから毎夜、ラファウとフベルトさんと一緒に観測をしている。
神、ねェ〜...
この人、学者として凄い。尊敬せざるを得ない。
真理の為にここまでの考えを持ってるなんて。
呆気なく終わった。
...天文、ねぇ...
別に好きでもないが嫌いでもない。
興味がある訳でもないが、興味がない訳でもない。
一体どうしたもんかねぇ
家に帰る途中、フベルトさんがいた。
その近くにはラファウと...
異端審問官がいた
状況を見るに、ラファウの家から異端とされるノートが見つかったんだろう。
が、フベルトさんが庇ってる...?
しかも連行された!!
この距離じゃどうしようもない。助けようがない。
近くても、審問官相手じゃきっとどうにもならない。
そして、フベルトさんは焼かれて死んだ。
悲しんだところでどうにもならない。
ただ、
...地動説、引き継いでもいいかもな。
あんなに感動したんだ。
そんなものを、すぐにポイッと放り投げることはできない。
ラファウはまだ無事だ。共同研究すれば進みは早いかもしれない。ただ、バレるリスクは倍増する。
後日
流石に1日で悲しみが消える訳ないか。
...さて、今日も観測行きますか...。
フベルトさんに教えてもらった観測地、ここの夜空は最高で最低だよ。
なんせ、来る度に思い出させてくるんだから。
観測をし終えたとき、オリオンベルトが云々と言っていた山に向かう人が見えた。
こんな時間に何を...
そこまで遠くない。走ったら追いつきそうだ。
私は好奇心に駆られ、人を追いかけた。
できるだけバレないように音を立てずに付いていく。
山の中は暗くて顔が見えないが、身長は小さめのようだ。歩き方的には男だろう。
どこまでくのだろうか?もう少し歩いたらきっと山腹あたりだろう。
そう思っていると、人影はいきなり止まった。
どうしたのだろうかと木影から覗こうとした時、
パキッ
私としたことが、なんという平凡で馬鹿らしい失態。
バレたので仕方なく木陰から出て、人と向き合う。
色こそよく見えないが、形と声的に、ラファウだ。
それはこっちのセリフでもある。
そんなに意味が分かりませんみたいな顔されても。
事実だもの。好奇心には勝てませんよ。
1番の疑問を問いかける。
あぁ、そういえば何か渡していたような気もする。
...もしや、あのオリオンベルトの話は全て考えられたものだった...?
そこには少し大きな石箱があった。
__この手紙を読んでいる貴方へ。
不躾な前置きで申し訳ないが私は貴方が誰だか知らない。
しかし、最も信用のおける物にこのペンダントを託すことにしている__では本題に入る。
以下の書類は私の人生を捧げた、地動説の全てだ。
そこで貴方を全面的に信頼して、私のやり残したことを頼みたい___
どうかこの全てを燃やしてほしい。
私は誰より地動説に接近した自信がある。
それ故私だけが悟っていることがある。
地動説は、恐らく証明できない。
不確定要素が多すぎる。きっと本当に神の領域なのだろう。だとすればこの不完全な説は消えるべきだ。
しかし、私は未練がましく燃やす勇気を持てず、さらに傲慢にも私より優れた人間に焼却されることを望んだ。
それが貴方だ。貴方なら燃やせる。
貴方の"理屈"は、私の"直感"よりずっと強い。
貴方ならやれる。依頼報酬は箱に同封した。十分な額だろう。
__では任せた。
流石にこんなの燃やせない。燃やしたくない。
私は、絶対に燃やさない。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!