pixivの再掲 シェアハウス時空
受験合格しました
こさめがふと構って欲しくなって出した話題を、躊躇なくその男はぶった斬った。
こいつ、珍しく空気を読まない。
スマホを触りながら雑学を披露するなつくんに腹が立ってきて、こさめは膝の上に頭をのっけた。
ゴンッ、と痛そうな音が鳴る。どうやら成人男性が成人男性の太ももにダイレクトアタックしたことで、骨にもろに当たったらしい。
なつくんの膝の骨に不満をぶつけながら頭をぐりぐりと押し付ける。
なつくんの反論が悲鳴に変わり始めたところで、さすがに痛そうだったから仕方なく彼の膝から起き上がった。
納得、といった表情のなつくん。おそらく彼の頭のなかには、いつものぽやぽやした黄色い王子が浮かんでいるのだろう。
めんどくさいことになったとぼやくなつくんに、こさめはまた寄りかかる。今度は頭を肩に乗せて。
だめ?とらんくんなら即落ちの上目遣いでおねだりする。
こさめは知っている。普段何でもない顔をしているが、なつくんも割とメンバー大好きで、こさめやみこちゃんの『この顔』に弱い。
予想通り、なつくんは少し頰を赤らめてこっちを睨んできた。
これはいける、と勝利を確信してニンマリ笑う。
しかし彼は、表情を変えずにふっと視線を逸らした。
まさか、ここまでデレてこないとは思わなかった。
こんなかわいいこさめにやられたら誰だって甘やかすやろ!?
らんくんなら光の速さで反応するだろうし、まにきやすっちーも多分、仕方ないって顔してよしよししてくれる。
みこちゃんはちょっと想像つかないけれど。その顔ずるいなあとか言ってくるはず。
この時間ならおそらく、あのイキリツンデレラッパーは自室にいるはずだ。
誰かに構ってもらいたいモードMAXのこさめがソファを立とうとした時だった。
なつくんがこさめの服の裾をくいっと掴んだのである。
なんやお前、そのツンデレムーブは。さっき今は無理って言ったやろ。
なつくんはこさめとは目を合わせずに、下を向いてそう言った。
しばらく頭の上にハテナが浮かんでいたが、三秒ほど考えて天才のこさめはピンときた。
こさめが自分以外のとこいこうとするから。
急に、寂しくなったな??
もう一度なつくんに身体をくっつけて、ソファに沈み込む。
よく見ると耳の辺りが真っ赤になっているなつくんを見て、思わずニヤニヤしてしまう。
それは迷信かもしれないけど。
なつくんが可愛いから、こさめはうさぎじゃなくても全然死ねるわ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!