リノside
ガチャ
俺は荷物を置いてソファに腰掛けた。
メンバーはあなたの下の名前のことを知ってるから話しても大丈夫な気がした。
ハナに今日あったことを話した。
あなたの下の名前が何も言わずに引っ越していたこと、しばらく居酒屋にも行っていないこと
連絡が取れないこと
自分でもありえないくらい焦ってるのがわかる。
一回落ち着かなきゃ…
俺なんか悪いことしたかな…
結局あの後、ハナと考えたけど思い当たるものもなく…
次の日を迎えた。
今日はレッスン終わりにあなたの下の名前の会社に行ってみることにした。
有名な化粧品会社で、僕たちも一回CMに起用してもらったことがある。
だから一応俺が行ってもおかしくないだろう。
あなたの下の名前が引っ越したのは仕事の為だったりするのかな。
でも、前のマンションでも十分近いしな…
引っ越した理由が思い当たらなすぎて、思わず声が出る。
いつもよりレッスンが早く終わって、帰る準備をしながら考えているのだけどやっぱり思い浮かばない。
俺はバックを持って練習室を出た。
意外と会社自体は近いから時間はかからないはずなのに、いつもより着くのに時間がかかってしまった気がする。
本当にいつも通り笑顔で働いてるといいな…
不安でしょうがない。
立派なロビーを通って受付に行く。
え…?
新しい企画が始まったって話してたばっかなのに?
理由が知りたいな…
あ、前あなたの下の名前が後輩のこと話してたな。
なんだっけ名前…えっと…
「キム・ジアン」
だった気がする…
化粧品会社なんて1人で入ることないしなんか緊張するな…
5分ほどでジアンさんは来た。
俺より少し背が低くて若そうな女の人だった。
おそらくジアンさんからしたら変な人だと思う。
急に会社に押しかけて来て先輩のことを教えろなんて…
そう言ってジアンさんは話してくれた。
体調があまり良くなかったから退職したこと。
俺に話すか悩んでいたこと。
結局ジアンさんもこれ以上はあまり知らないみたいだった。
でも、それが知れただけでもかなりの進歩。
俺はそのまま会社を後にした。
あなたの下の名前……体調悪かったのか…
全然気づかなかったな
心配だな












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!