第14話

それが現在の結果
6
2023/12/17 03:22
リウス・ラスアール
リウス・ラスアール
あの子は、私にとって最も大切な存在だ。あの子がいなくなったら、私は立ち上がれなくなってしまう。だから、あの子を守るためには、この禁忌の本を使うしかないのだ!
リウス王は、禁じられた本を取り出し、その表紙には【生死の本】と書かれていた。彼はその本を開き、中から出てきた書物を見つめながら、すらすらと詠む。

それからしばらく時間が過ぎ、リウス王が呪文を始めると城は突如として揺れ始めた。城の中を駆け回るほどの激しい揺れに、人々は恐怖に震えていた。すると、地面から茨が現れ、同時に黒と紫の炎がリウス王を取り囲んだ。
グルー・フェステ
グルー・フェステ
『あの者、本当にやるとはな…。』
ルー
ルー
《火竜様!どうしましょう!》
カルル
カルル
……っ…?…ここ…は…それより、この状況はやばいな。
ルー
ルー
《ルウ!大丈夫?》
カルル
カルル
なぁ、確か俺は痛みで気絶して……俺よりも、凄いことになってないか?
グルー・フェステ
グルー・フェステ
『生死の本、神々ですら見たり触ったりしないという危険な本だ…。この状況だと巻き込まれる可能性はあるが、あいつは_____』
そして、光が消えると、リウス王は倒れ込んでいた。ルウは彼のもとに駆け寄ると、黒と紫の炎が金色の炎に変わり、茨は蔦に変わっていた。そして、金色の炎はリウス王を支え、彼が倒れないようにしていたのだった。ルウは心底安心した。 
カルル
カルル
良かった!怪我は無さそうに見えるけど…。
ルー
ルー
《火竜様、これは一体…。》
グルー・フェステ
グルー・フェステ
『…どうやら、お出ましのようだ。』
カルル
カルル
え?
ルウが驚いた瞬間、金色の炎が柱が上がると徐々に姿が変わり、フェニックスが現れた。
クリス・フェニックス
クリス・フェニックス
《…あなたは、火竜のグルー・フェステ様でしょうか?》
グルー・フェステ
グルー・フェステ
『そうだ、我がグルー・フェステだ。どこかで会ったことがあるのか?』
クリス・フェニックス
クリス・フェニックス
《いいえ、風の噂は聞いていただけです。ですが、どうやら私のせいでリウスは大変だったようですね。》
グルー・フェステ
グルー・フェステ
『あぁ…まさか、丁度良いタイミングで起きるとはな。死が近づくと心を許した者しか加護を授かる代わりに、二十年経つと復活する。』
クリス・フェニックス
クリス・フェニックス
《その通りです。よくご存知ですが、出来ればリウス王をあまり攻めないで頂きたいです。彼は悪気がありません、ただ僕を助けたかっただけです。》
二人は静かに語り合っていた。すると、突然クリス王が目を覚まし、周りをキョロキョロと見回した。どうやら、彼は先ほどまでの出来事を覚えていたようだ。

クリス王はふらつきながらも立ち上がり、彼らに向かって殺意を向けた。クリスは驚きつつも、彼に対して静かに話しかけた。
クリス・フェニックス
クリス・フェニックス
《リウス王、どうか落ち着いてください。私たちはあなたに害を与えるつもりはありません。》
しかし、リウス王は怒りに震え、彼女の言葉を聞き入れることができなかった。「リウス王!」とルウが叫ぶと、リウス王は振り返った。ルウはリウス王の前まで駆け寄り、怒りを込めた声で叫んだ。「あなたは……バカだ!」

リウス王は、ルウが言いたいことを察した。自分が自己満足でしかなく、周りの人に気づきを与えていなかったことを。ルウは、リウス王を掴み、怒りをあらわに続けた。「自分だけで物を見て、周りに目を向けないでいたら、お前はずっと独りぼっちだよ!」

リウス王は怒りを感じながらルウを睨みつけた。しかし、ルウの言葉はリウス王の心に刺さった。本当に自分は、周りの人に無関心だったのだろうか?そう思い始めたリウス王は、ルウに向かって怒鳴り返した。「黙れ!何を勝手に私を知ろうとしているんだ!何も知らないで私を笑うのだ、皆んなもそうだ!」

ルウは悔しさと怒りを感じたが、それでも諦めずにリウス王に向き直り、「違う!そんなことが間違っているんだよ!」と叫んだ。

「…何?」とリウス王が訝しげに尋ねると、ルウは「本当は、一人になりたくなくてナイトを復活させようとしてただろ?そんなことしても代わりなんて出来ないよ!お前は、ずっと一人じゃない!もうずっと側に、ナイトは居たんだよ!!」と言った。

リウス王は混乱した表情で、フェニックスの言葉に耳を疑った。「なっ……お前、何を言って…。」と聞くと、突然、横からフェニックスが現れた。
クリス・フェニックス
クリス・フェニックス
《リウス王……僭越ながら、私がナイトです。》


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