とかなんとか言っているうちに、どうやらアイビーは準備を始めたようだ。
天羅がビシッと手を挙げる。
アイビーもノリノリで先生のように答える。
てかこれ先生モードのアツトのモノマネじゃない……?
楽しそうで何よりだな。
2人の目がきらきらしだす。あれもしかしてこういうの好きなのかな?
でも、アイビーは―――
ていうか「上位存在」ってとこだけに関してはグレンダの受け売りなのでは……?
アイビー、昔組織に入ってしばらくは上位存在って自覚無かったみたいだし。
まぁいっか。なんか昔のこと思い出せてこれはこれでいいな。
それだけ言葉を交わすと、アイビーは部屋の真ん中に立つ。
私の魔力を受け取ると、ふっとこちらへ微笑んだ。
そして。
――目を、瞑る。
それだけで、なんだか部屋の空気が変わったように感じる。
その姿は、正しく―――
鮮やかな光を纏ったアイビーが、スッと小さな口を開き、呪文を唱え始める。
私も初めて聞く呪文だ。
そのことに、アイビーの本気度を感じる。
その姿には、なんだか「何者でもないもの」にしかない美しさを感じた。
天羅としろは呆然としている。気持ちは分かる。けれど、私の知ってるアイビーのままで、なんだか安心してしまった。
「かみさま」のクセに、仲間のことを超大事にしてるとことか。
そう唱えると、アイビーを纏っていた光がより一層強くなる。
そこまで唱え終えると、アイビーを纏う光が糸のような形へと変化し始めた。
アイビーが唱えると、それは明確な色を持ち始める。
そしてそれは、それぞれ色を持った11本の糸となった。
アイビーがそう言うと、そのうちの一本が私に向かって伸びてきた。
淡く紫色に光っている。
他の糸はというと、四方八方にどんどん伸びてゆき、部屋を飛び出してどこかへと向かっていった。
だんだんと光が収まってゆく。
かなり力を使ったようだ。アイビーは肩で息をしていた。
私の左手の薬指に巻きついた紫色の糸は、ふわふわと淡く光り輝いている。
部屋の外へと伸びる色とりどりの糸も、同じように淡く光っていた。
そう聞いて、ちょっと不安になる。……つまり、それって。
もしかしたら、同じ時代にいない可能性もあるわけで。
太陽のようににぱっと笑う姿を見て、なんだか力が抜けてしまった。
………安心した。よかった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。