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慣れない机と、慣れない空気感に誰もが緊張をしていることだろう。
そう、この剣持刀也もだ。
既に寝そうな顔をしている奴や、無駄に背筋を伸ばしまくって担任にアピールしている奴。
あいつよりはマシだろ。なんて思いながら担任の話を聞き流した。
出席番号順に自己紹介を促した担任の合図で、1番前の男子が立った。
ま、興味無いけど。
と、視線を斜め後ろに向けた時だった。
窓からの風で美しく靡く黒いポニーテール。
何を捉えているのか分からない、綺麗で吸い込まれるような目。
触れたらサラサラと無くなってしまいそうなほど、儚く感じる肌。
__バチッと僕の中の何かが始まったような気がした。
どれだけの時間、彼女を見つめていたのか分からないが、
目が合った途端、何故か「しまった」と感じ、目を逸らした僕の耳は少し熱く感じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。