「っハーッ…ハーッ…」
この時期になると悪夢を見る。
拳銃を抜く伊吹、
嘲笑うような久住、
止められない俺、
全部、全部、リアルに見える。
気持ち悪い。
息が上手くできない、
でも伊吹にバレたくない、
嫌だ、嫌だ
どうすればいい?
俺は、あの悪夢でどうすれば良かった?
そもそも、悪夢なのか?
現実なのか?
「…チッ」
俺はとことん弱い。
香坂のことも、伊吹のことも守れなかった。
自分も他人も信じないなんて言ったくせに、伊吹と出会ってからずっとあいつを信じ続けている。
…はぁ
「…気持ち悪…」
汗でびっしょり。きもちわるい。
香坂の時もこうだったよな、とぼんやり思いながら伊吹を起こさないように部屋を出ていく。
「…はぁ…」
どうも部屋にいると落ち着かない
うまく頭が回らない
…涼みに行くか
「…」
屋上、あいてたっけ
『んー…眠い…しまぁ…?』
あれ、志摩がいない
…生暖かい。さっきまで居たのか
どこいったんだよ?相棒まで置いてってさぁ
俺志摩の忠犬だからね?いや犬じゃないけど。
『…なんかなぁ』
もやもやする。
なんか嫌な感じ。
そういや朝から変だったな。
あんまり話聞いてない感じだったし、どこかふわふわしてるし。
「…10/16…」
…そっか
今日は“あの日”だからおかしかったのか
…久住の、あの日
『ころ…すな…いぶ…き…』
嫌だ。嫌だ。
俺は、
「刑事を捨ててでも俺を殺すか、俺を捕まえるか、どっちにするんや?」
こいつを、こいつを絶対に
許さない
バン
「…起きろよ…相棒…」
「…ッ」
1番夢でよかった、と思った
それでも、俺は久住を許さない。
多分ずっと、憎んでるだろうなw
…それでも、志摩が俺を止めてる限り、俺はずっと殺さずに済む。
これでも志摩の相棒だからな。
「…あーもー!一人で抱え込みすぎだっつーの!!」
多分屋上かな。
香坂ちゃんとの事も思い出してそうだし。
意外と志摩ってバカなんだよなぁ
「…しーま」
やっぱり来た。
俺は伊吹が来ることを望んでるようにも見える。
「なにしてんのー?」
動きたい、
動きたくない、
ここを離れたら何かが壊れそうだから。
あの悪夢を何度も見た。
香坂の夢も何度も何度も何度も
だけどやっぱり
久住はこの時期にはっきり見える。
見えてしまう。
…俺はこいつを守れるだろうか
俺を救ってくれたこいつを
俺は救えるだろうか?
がまさんの時も
久住の時も
俺はあいつを救えなかった
『…別に。』
「どうせむじぃことでも考えてんだろ?」
『…お前に言ってもわかんねぇだろ』
「わかんねーなぁ。志摩はずっとむじぃ事しか考えてねーだろ」
『…そうか』
こういう他愛ない会話も、相手が伊吹だからだろうか。
どことなく嬉しい自分がいる
今回の悪夢もこいつが救ってくれるのだろうか
『…なぁ伊吹。』
「どーした?」
『…俺はいつもお前に救ってもらってばっかりだな』
「…何言ってんの、俺も志摩に救ってもらってばっかだよ」
『…?』
どういう事だ。
俺は別に、お前を救えたことなんて無いはずだ
「…がまさんの時も、久住の時も、いつも1番近くにいて俺のことを気遣ってくれたのは志摩だけだよ。」
「志摩が止めてくんなかったら、俺は久住を殺してたかもしれない」
『…撃ってただろ』
「悪夢の時はね。あれはノーカンだろ」
『全然ノーカンじゃねぇだろ。バカか』
「ひでぇなぁ志摩ちゃん…でもさ、俺は志摩が相棒で後悔したことなんて1回も無いよ?」
『…嘘つけ』
「嘘じゃないよ。志摩が1番俺のこと見てくれるし、俺の事1番考えてくれてるじゃん。こんな最高な相棒、居ないよ?」
『…』
「だからもっと自信持ってよ志摩。本当に後悔したことなんて1度もない。」
『…そうか』
…浮かれてる自分がいるな、とも思う。
こんな簡単な言葉で嬉しくなるとは思わなかった。
でも、伊吹は、本気でそう思ってくれてる。
『…俺もお前が相棒で良かった』
「え!?志摩ちゃんがデレた〜!!きゅるきゅる〜!!」
『…前言撤回!!!』
やっぱり馬鹿だ、こいつ
『救ってくれて、ありがとう』
バットリ記念
Halloweenも出す予定
それでは











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。