第12話

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2023/12/09 13:17
阿部side

『逃げて来ちゃった…』

階段を駆け上がって屋上の扉の手前で座り込む


屋上は自殺防止のため鍵がかかって入れないから
ここに来る人もほとんどいない


1人になるには最適の場所だ

『ハァ………ハァ…』

全力疾走したせいで呼吸が荒い


生まれつき心臓が弱いのもあって中々息が整わない


なんであんなにイラついちゃったんだろう


ママもパパも何も悪くないのに
沢山怒鳴っちゃった


あなただってこんな俺失望したよね…

『フッ…ウッ……ウゥ……ハァ、ッ、、』

グルグル考えてると涙が溢れてきて
段々と過呼吸になってきた

『ウッ…ハァ…た、、すけっ…ハァ……て、』

完全に自業自得だ


俺このまま死んじゃうのかな…

あなた「亮平!!!!」

『っ?!あなたっ…ハァッ、』

あなた「ちょ、真似してね、吸ってー、、吐いて、、もっと吐いて」

『スゥ……ハァ……ハァ…』

あなた「そう上手、吸ってー」

『スゥ……あなた…何で…?』

あなた「いいからいいから、薬とかない?」

『これ……』

ポケットに常備している吸うタイプの薬を取り出す

あなた「ん、はい、加えて、、吸える?」

『うん…』

薬を飲むとやっと落ち着いてきた

『何d』

あなた「もうほんと探したんだからっ!!!」

『え、』

思いっきり抱きしめられる

あなた「ほんと間に合ってよかった…」

『うん、、ごめんなさい、、』

あなた「謝るのは私にじゃないかなぁ…」

『うん…』

あなた「ご両親からね亮平の話を聞いたんだ」
「好きなものとか、昔の話、病気のことも」

『…』

あなた「亮平のことが大好きなんだなぁって沢山伝わってきた」

『ん…』

あなた「亮平はお父さんとお母さん嫌い?」
「今日本当に来てほしくなかった?」

あなたの肩に顔を埋めて無言で首を振るしかできなかった

あなた「じゃあ何で怒っちゃったの?」

何で…


俺自身にもわからないのに…


口に出したら分かるかな

『あなたが取られた気がして…』
『俺が話してたのに…』

あなた「そっかぁ、亮平嫉妬したんだ」

『嫉妬?』

ストンと気持ちが落ち着いた


それと同時に自分の気持ちを自覚した


俺、あなたが好きなんだ

あなた「友達を取られたからヤキモチ妬いちゃったんだなぁ、可愛いねぇ」

……薄々思ってたけどあなたって鈍い


前途多難かも

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