終礼が終わって
皆んながざわざわと帰り支度を始める .
私は意を決して隣の席のユジンに声をかけようとした .
でも , ユジンは私の声より先に
椅子を引いて , カバンを肩にかける .
そして振り返ることなく
そのまま教室の出口へと歩いて行ってしまった .
いつもなら一緒に帰ってたのに …
胸の奥がぎゅっと締め付けられた .
私は一人でカバンを持ち , 教室を出る .
下駄箱で靴を履き替え , 校門を出た時
ぽつりと冷たいものが頬に落ちた .
空を見上げた瞬間
大粒の雨が降り注いでくる .
今日は寝坊して時間がなかったから
天気予報を見ずに来てしまい
当たり前に傘なんて持ってきていない .
慌てて走ったけど , 数秒もしないうちに
制服も髪もぐっしょり濡れてしまった .
水の冷たさに身をすくめながら歩き続ける .
気づけば , 視界がまた滲んでいた .
私のせいで , ユジンも
ハオ先輩も , ハンビン先輩も
皆んなが傷付いてるんだと思うと
一度溢れ出た涙を止めることはできなかった .
雨に打たれていることも
びしょ濡れになっていることも気にせず
一人で歩いていると ,
背後から駆けてくる足音がした .
次の瞬間 , 自分に降り注いでいた雨がぴたりと止む .
驚いて顔を上げると
ユジンが傘を差し出して立っていた .
そのまま , ユジンは無言で
カバンからタオルを出して私の肩にかけてくれる .
突然の温もりに , 思わず胸が詰まった .
ユジンは眉をひそめると小さくため息をつく .
その声は呆れたようで ,
でもどこか優しかった .
そう答えると ,
ユジンはきょとんとした表情を浮かべる .
知らなかった .
てっきり , 怒ったまま帰ったんだと思って ……
言葉を失う私を見て , ユジンは小さく笑ったあと
真剣な表情になり , 私をじっと見つめた .
雨音の中で , ユジンの低い声が
真っ直ぐに胸に届く .
私は慌てて首を振った .
ユジンは一瞬黙り込んだけれど
すぐに小さく笑って , 私の頭をぽんと撫でた .
その何気ない仕草に , 胸が温かくなる .
さっきまで胸が締め付けられるように
苦しかったけれど , ふっと軽くなったような気がした .
その言葉に ,
涙がまた込み上げそうになった .
そう答えると ,
ユジンは微笑みながら頷いた .
小さな折り畳み傘で , しかも
ユジンが私の方に傘を傾けてくれていたから
家に着いた頃にはユジンもびしょ濡れで
お母さんに心配されながら
2人であったかいココアを飲んだ .














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。