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第1話

VOIDバレ無し 七一【カッコつけは趣味じゃない】
3
2026/04/22 11:55 更新
⚠️注意⚠️

この小説はクトゥルフ神話TRPG「VOID」の自陣卓
「#かまぼこラムネ卓」の二次創作です。
セッションバレが大いに含まれます。

また、CP要素やBL要素があったりなかったりします。
それでも良ければ、この物語を楽しんでください。
金属の匂いが混じった風が、夜を切り裂いていた。

その夜、二つの戦場は同時に崩れかけていた。
離れた場所で、それぞれが、
同じように限界へと追い込まれていた。



コンクリートの廃ビル。
崩れかけた階層の中で、誰かが膝をついていた。

ぼんやりと鈍く光っていた月が
雲を押し退け、地上に光を降り注ぎ

その人物___________命を照らす

呼吸が重い。
視界が滲む。
血の匂いが、自分のものか
敵のものかももう分からない。

目の前の敵は強い。
一人では勝てない相手だった。

弾丸が飛ぶ。
避けきれず、肩が熱く、
生暖かい体液が滴る不快感。

「っ……まだ……」

立ち上がろうとした足が震える。
視界の端が黒く潰れかける。

それでも、思考は一つだけ離れない。

(七橋先輩なら、こういう時どう動く?)

ふざけたような笑い方。
人の髪を勝手に触る癖。
無駄に余裕ぶった声。

それが、今はやけに鮮明だった。

「...あの人に、まだ何も伝えてねーんだよ、」

声になった瞬間、足にもう一度力が入る。




同時刻。
別の区画、崩壊した倉庫跡。

七橋は壁に叩きつけられ、片膝をついていた。
息が浅い。
口の中に鉄の味が広がる。

敵は複数。
しかも冷静で、隙がない。

「……あー、ホント最悪」

笑おうとして、声がかすれる。
いつもの軽さはもう形を保てていない。

殴られた腕が痺れている。
思考が一瞬遅れる。

その一瞬で、視界が揺れた。

(命、、絶対、生きててね、)

不意に浮かんだのは、白い髪の青年だった。
まだ未熟で、でも目だけは真っ直ぐだった。

必死に隠しているくせに、感情がすぐ顔に出る。

あの目が、今も頭から離れない。

「……ははっ、、後輩指導に行ってあげないと、」

吐き捨てるように言って、七橋は立ち上がった。
その瞬間だけ、確かに生き延びる理由がそこにあった。



命side

敵の刃が頬を掠める。
熱い。遅れて痛みが来る。

それでも、命は前に出た。

一歩。
また一歩。

身体が限界でも、止まれない。

(あの人に、まだ何も言ってない)

ふざけた顔。
からかう声。
でも時々、ひどく真面目な目をする人。

その目を思い出すと、足が止まらなくなる。

「……こんな所で、死んでたまるか」

振り抜いた刀が、敵の体勢を崩す。
その一瞬の隙を逃さなかった。



七橋side


倉庫の中、最後の一人と対峙する。

呼吸は乱れているのに、頭だけは妙に冴えていた。

(命は……)

不意に浮かぶ顔に、自嘲するような笑みが漏れる。

守りたいとか、そういう綺麗なものじゃない。
もっと厄介で、どうしようもない感情だった。

“まだ見ていたい”
“まだ隣にいたい”

そんな、言葉にすらならない欲が残っている。

「……こんな所で死んでたまるか」

低く呟いた瞬間、七橋は踏み込んだ。
迷いはもうなかった。



命side

最後の一撃。
敵が崩れる音が遠くで聞こえる。

膝から力が抜ける寸前で、命は壁に手をついた。

荒い呼吸の中で、頭に浮かぶ。

(無事でいろよ、七橋先輩)

自分でも驚くほど、それは祈りに近かった。



七橋side

敵が倒れる音。
静寂が戻る。

七橋は天井を見上げたまま、息を吐いた。

「……ったく、無茶してそうだな」

声は誰にも届かない。
それでも、確信だけはあった。

あいつは生きてる。
たぶん、自分と同じように。



同時刻


離れた二つの場所で、ほぼ同時に。

同じように崩れかけた身体で。
同じように息を整えながら。

二人は、同じことを思っていた。

(まだ終われない)
(まだ、あいつに会ってない)

そして、どちらも気づいていない。
その理由が、ただの執念ではないことに。



夜風が、静かに街を抜けていく。
戦いは終わったのに、終わっていないものだけが胸に残る。

まだ、言葉にしていないものがある。
まだ、伝えていないものがある。

それだけが、二人を生かしていた。
ちゅ

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