第45話

四十三話 合格らしい。
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2026/02/05 09:20 更新































ランス・クラウン
(死んだ人物の真似事をする僕は
    一体全体何者なんだろうか。)

     無駄な思考を咀嚼して飲み込む。

  今、後悔したって意味はない。
  もう決めてしまったから演じきるしか道はない。

  消えていった幻の代わりに、
  編入試験の時面接した部屋が目前に広がる。

  嫌な思い出が想起され、少しばかりたじろいだ。
ウォールバーグ校長
編入試験ぶりかの?
 ランス・クラウンくん。
ランス・クラウン
…こうやって面と向かって話すのは
編入試験ぶりですね。

  ウォールバーグ・バイガンという人物はきっと
  形式的な敬語や会話は余り好まないだろう。
  どちらかと言えばフランクに接した方が
  懐に入りやすいし、きっと余計な詮索はされない。

  声色はいつも通り、文章は敬語に。
ウォールバーグ校長
形式的な挨拶は飛ばす
早速本題といこうかの。
ランス・クラウン
はい。

   編入試験とは違い
   目の前で向かい合っての面接。

   身長差があるからかはたまた他の何かか   
   異様な威圧感と見通す様な目が怖い。

ウォールバーグ校長
…。
 
   故意的に目を合わせるのを嫌っている。
   
  生きる伝説的な扱いをされるワシに恐れ
  目を逸らす生徒も一定数はいるが、
  ランス・クラウンに限ってそれはないじゃろう。

  そもそも、
  この目はワシには向けられていない。

  他の…いや、他人の目を見ている。
  異常な他人から与えられる賞賛への執着
  他人からの評価に対する異常な恐怖心。

ウォールバーグ校長
(幼少期の事故や、妹の事が
 複雑に絡み合っているのじゃろう。)
 
ウォールバーグ校長
神覚者になりたいのは何故かの?
ランス・クラウン
妹の、魔力が無くなっていく病を治すためです。
ウォールバーグ校長
どうやって?
治る確証なんぞないじゃろう?
ランス・クラウン
治らなかったら、魔法不全者でも不自由なく生きれる世界を作りましょう。
ランス・クラウン
あの子は、幸せにならなくては。
ランス・クラウン
自身がどうなろうとも。
  

    自身はどうなろうとも、か

    本物の自己犠牲の塊じゃの。 

  それを言って
  次々と破滅していった子達がどれほどいるものか。

ウォールバーグ校長
君が、四肢を無くしてでもその世界を作ったとして、本当にその子は喜ぶと?
ランス・クラウン
…さぁ、所詮人間は自身が正しいと思ったことしか行動移せないのですから。


   自嘲気味に笑うランス・クラウンからは
   明確な意思は伝わってこない。

ウォールバーグ校長
(危なっかしい子じゃの。)

ウォールバーグ校長
君に、それ以外の夢はあるのかの?
ウォールバーグ校長
妹さんを助けて、世界までも変えて
その後、君は何をする?
ランス・クラウン
…。
ウォールバーグ校長
自身を傷つけ、自身を偽って、
ウォールバーグ校長
その後は?

    絡み合って、縛り上げて、
    物語通りに事を進めて、その後は?
ランス・クラウン
…わかりません、
わかるつもりもありません。
ウォールバーグ校長
その様な覚悟で神覚者になれると?

    そんなこと言わないでよ
    覚悟なんて、する意味ないんだから。

ランス・クラウン
死んでも良い、どうでもいい。
あの子を助けられるなら、何でも良い。
 
ランス・クラウン
最も世間的に正しい道が
神覚者であっただけでしかない。
 
ランス・クラウン
夢を見る気は、失せました。
ウォールバーグ校長
まだこの先長い子が何を言う。
老ぼれになってから言うものじゃよ、
ウォールバーグ校長
君をそう言わせる要因は、
ウォールバーグ校長
腕の傷のせいかの?

   腕のシャツを捲り上げられ
        醜い傷があらわになる。
ランス・クラウン
っ…!!!

    バレた、バレてた、あぁ、

    妙に納得する、そりゃそうだ。

    嘘はいずれバレるものなのだから。

  真っ白になった頭が思考で真っ黒に染まっていく
ランス・クラウン
(いつ、ばれた?なんで?
 教師達に連絡は入ってしまっているか?)
ランス・クラウン
(不合格_____??)

  いやだ、いやだ、ランス・クラウンは
  こうじゃない、ちがう、
  ランス・クラウンは、完璧でなければ。

  完璧じゃなきゃ許されない。
  許されるためには、完璧を演じなきゃいけない。
  人殺しが一丁前に楽しく生きてて良いわけない。
  人殺しが、人殺し、人殺しのくせに。
ランス・クラウン
人殺しがのうのうと
   生きていけると思うなって話だよな…っ!!!
ランス・クラウン
どこで、それを…っ?

   ハッとして、強引にに手を振り払う
   捲られた腕のシャツを早く早くと戻す。
ウォールバーグ校長
夏の時期、
君だけは頑なに半袖を着なかった。
ウォールバーグ校長
海水浴に行っていた日も、
紺色のラッシュガードを着ていた。
ウォールバーグ校長
学年に一人二人といるものでな
長く勤めていると勘でわかるのじゃ。
  
ウォールバーグ校長
自己犠牲型の危うい生徒。
ウォールバーグ校長
まさに君じゃな

   さっきまでの雰囲気がガラリと変わる。

   怒られる、怒られる、いやだ。
   どうせ怒鳴られるんだ、叩かれるんだ。
   挙げ句の果てに呆れられて見放されるんだ。
   いやだ、見捨てないで、怒らないで

    頭ごなしに怒られると思わず考えて
    体をこわばらせ、俯いて頭を差し出す。

  …が、いつまで経っても衝撃は来なかった。
  遠慮気味に顔を挙げると、何故か頭を撫でられた。
ランス・クラウン
っ!?

   予想していたこととの違いに驚きを隠せない。

   目を見開いて、体が固まる。
 
   校長の口髭が動いたかと思えば

ウォールバーグ校長
合格じゃ、
ウォールバーグ校長
そもそも、幻影を見抜いた時から
合格にするつもりじゃった。
ランス・クラウン
___っえ

       不合格じゃ、ない…??
ウォールバーグ校長
自分を偽るのをやめろとは…
社会的にも、無理な話じゃからの。
ウォールバーグ校長
逆に、上手くいくことの方が多い。
 
ウォールバーグ校長
じゃが、自身を責めるな。
ウォールバーグ校長
腕の傷だって、隠せば良い。
ウォールバーグ校長
苦しくなれば、校長室においで、
いつでも話は聞く。
 
    優しい声色。
    呆れではない、他の何か。

    …僕は知らない。

    頼ってしまったら、戻れなくなる。
ランス・クラウン
…約束は、しません。
ウォールバーグ校長
ふぉふぉ、まぁ今はそれで良い。
ウォールバーグ校長
試験はこれで終わりじゃ
そこの扉を出れば、後はわかるな?
ランス・クラウン
…はい。

    形式的な会釈をした後
    
  扉を出ると、
  最初の、魔法陣に足を踏み入れた場所に転移した。

   もう興味がないと言いたげに
   がらんとした大聖堂の様な場所に
   マッシュ達がぽつんと待っていた。

   フィンが最初にこちらに気づき
   ものすごく心配そうな顔で駆け寄ってくる。

   マッシュ達も追うように駆け寄って来た。
フィン・エイムズ
どっどど、どうだった!?
殺されかけてない!?
ランス・クラウン
何故ただの試験で死にかける。

  疑問を感じながらも時計を見ると、
  もう学校を出なければならない時間だった。

  嫌だなぁ、めんどくさい
  どうせならフィン達と喋っていたい。

  でも、行かなきゃ怒られるだろうし
  ランス・クラウンとしてのメンツも丸潰れだ。
  シュークリームパーティーに誘われているが
  仕方ない。
ランス・クラウン
…用事がある、
パーティーには参加できない。
レモン・アーヴィン
用事って、今からですか!?
レモン・アーヴィン
そろそろ日が暮れちゃいますよ!?
ランス・クラウン
許可はとってある。





































    そういって、何も説明せずに
    フィン達を押し除け、実家へ箒を飛ばした。

































描きダメが無くなったのと、
校長との掛け合いに悩み続けてました。
結局変な感じになったんですけどね。

次の話も凄く悩むと思うので、ご了承ください。

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