第46話

四十四話 トラウマ。
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2026/02/12 11:37 更新

     現在の時刻5時15分。
  
     開始は6時から

     着替えをするなら5時半には着きたい。

     いっそのことバックれたい。
     本当に嫌、面倒くさい。
  シュークリームパーティーの方がどれだけマシか。
ランス・クラウン
(あ“〜っイライラする…)

 傷が乾燥した皮膚のせいで引っ張られて痛いし…

 校長先生の事も不安ばっかりなのに
 
 先生方に知れ渡ってたらどうしようとか
 考えるだけでイラつく。
ランス・クラウン
(何でこんなむしゃくしゃしてるんだろう)

       自分にもイラつく。

  もっと上手く立ち回れてたら
    バレるなんて事なかったのに。

  


  



    苛立ちを収めながらも
    ギュンと箒のスピードを上げた。






























 
 
 

    その後何とか間に合い
    慣れないスーツに身を包み、
    使用人がせっせと髪を整えてくれた。

   会場に行くと、もう既に始まっていた様で
   どうやら俺はイベント扱いらしい。

 「神覚者選抜試験を突破したクラウン家の長男」

   そう紹介され、貴族間での交流が始まると
   財産や地位目的の女性達が我先にと寄って集る。

「ランス様!良ければ私と一曲…!!」
 

 黄色のドレスに金髪金色の目。
 綿織物などの織物業界の頂点に立つ貴族の社長令嬢。
 このパーティーで着られている洋服の生地は、
 ほぼ全てこの会社が作っている物だろう。


       「ああお麗しいランス様。
          この様な者よりも、この私を!」


 ワインレッドを基調としたドレスに黒髪、赤色の目
 ワイン業界を総なめする貴族の令嬢。
 貴族が嗜むワインは、それはよく売れるそうだ。

  そんな二人が、
  中身は偽者の神覚者候補を取り合っている。


 「なんですって!?」

        「何故?事実じゃなくって?」
ランス・クラウン
っあの、私は__
  中途半端なところで言葉が途切れる
  苛立っている頭では、失言をするかもしれない
  そう思うと、言葉が詰まった。

  それを隙と思ったのか、二人の勢いは増す。


「 私と踊ってくださりますか!? 」

          「 ランス様、私と…!! 」

   そう迫られていると
   さらに女性達が集まり、
   身動きができなくなってしまった。
ランス・クラウン
(元神覚者の娘に社長令嬢…
  断ったら何が起こることか。)

    抵抗するに出来ないでいると
    白いスーツの背中が突如と視界を遮る。

男貴族
ランス様が困っているのがわかりませんか?
男貴族
そんなに踊って欲しいなら
他にも貴族がいるじゃないか。
 
    どうやら助けてくれている…らしい

  そそくさと逃げようとするが腕を掴まれている、
  やめろ、そこは傷があるんだ。

  掴む力といい、傷のせいと言い。


     “その場から離れられなくなった”。


  どうにか離れられないかと試行錯誤していると
  いつの間にか話が進んでいたのか
  意味のわからない発言が耳を通った。
男貴族
財産目当てのアバズレどもが。
ランス・クラウン
〜〜っ!?!?!?

    は!?っは!?何を言っているんだ!?

    バカなのか!?バカだろ!!!

    こっちに被害が来たらどうするつもりだ!!!

    ふざけんなよ!!!

  なんて心の中で叫んでいると
  女性達は頭がおかしいとそそくさと逃げていった。



  男性陣も頭がおかしいと思っている様で
  近寄りがたい顔をしている。



  腕を引かれズンズンと何処かへ引っ張られていき
  人混みはまるでモーセの海割りの様に避けていく。

  




























  






   だんだんと人気の少ない場所に入っていった。

























ランス・クラウン
(あ、まさか。)

























   そう気づいた時にはもう遅く、
   

   全く人の来ない場所に来てしまった。
   途端に男は俺を壁に押し付ける。

   まだ救いはあると、話しかけてみる
ランス・クラウン
助けてくださり、
 ありがとうございました。
ランス・クラウン
女性達も追ってきてはいないでしょうし
手を離してはくれませ__
男貴族
嫌だね。

   間違ったのか、拘束している手の力が増す。
ランス・クラウン
っ…!!!

    しくった、マズい、ダメだ、
    何でこいつについていった…っ!?!?

   貴族に会いたくないのはこれだからだ…っ!!!
   
  必死に掴まれた腕を振り払おうとするも
  若い成人男性の力には勝てず、
  ぎりぎりと骨が悲鳴を鳴らせるだけだ。
ランス・クラウン
ぐっ…!!!
男貴族
痛がってる表情もかわいいね…。
男貴族
写真よりずっとかわいいよ…!
男貴族
きっとココも、
 かわいいんだろうねぇ…

  気持ちの悪い粘る様な笑みが
     上から下へと視線を動かす。

  気持ちが悪い、気持ちが悪い気持ちが悪い!!!

  鳥肌が立つ、吐き気を催す。
男貴族
君のために呼ばれてきたんだよ?
ご両親が心配していたんだから。
ランス・クラウン
はなせ…っ!!!!
 
   ふざけるな!!
   あの両親が俺を心配するわけがない!!
   どうせ意思を行為で潰して
   操り人形にしたいからに決まってる!!!
男貴族
そう抵抗するなよ
気持ちがいいだけじゃないか。
ランス・クラウン
気持ちが悪いに…っ
決まっているだろうっ!!!!

    足が拘束されていないことに気づき
    全力で股間を蹴り上げた。

   地味に体が浮いていたのか
     ドサッと地面に落とされる。
男貴族
い“っ〜〜!!!!
男貴族
何すんだよ!!!!!

    痛がるそぶりを見せた後
    俺が立ち上がる前に俺を壁に叩きつけた。
ランス・クラウン
あ“っ…!!!

    背中から激突し
    痛みで息ができなくなる。

    逃げなければともがくが、
    足で強く蹴り上げられ、殴られた。
ランス・クラウン
はっ、はヒュッ
ランス・クラウン
ゲホっゲホッ

    生理的な涙と、よだれが口元を伝う、

    顔を鷲掴みにされ
    壁ずたいに男の目線まで持ち上げられる。
男貴族
せっかく優しくしてヤろうと思ったのによ…
男貴族
ふざけんじゃねぇぞ!!!!
あなた
ひっ

    体格も何も違くとも
    影が重なる、思い出してしまう。
    あの時との、いたみと

























   怒鳴り声と、鈍い音と共に鈍痛が襲う


    いたい、いたい、いたい


    どならないで、ごめんなさい


    ごめんなさい、ごめんなさい



    いきててごめんなさい


    いきをしいてごめんなさい


    ごくつぶしでごめんなさい


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
あなた
ゆるしでぐだざい
あなた
ごめ“んな“ざい…っ

























       おとおさん…っ

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