in 屋根の上
零夜 side
結界張り替え終わったし
掃除したし
あとは刀の手入れだな
加州清光から本体を預かる
[とても警戒された。当たり前だよな]
本体に符を張り
一言
唱える
次の瞬間
刀が光に包まれ
同時に霊力が流れる
光が消えたときには
刀の手入れは完了していた
相変わらず霊力消費量えげつないな
改良の余地あり、だな
それにしても
無事にできてよかった
できていなかったら
影でコソコソ見ている奴らに
首を斬り落とされただろうな
刀を手入れして綺麗にしたからか
加州清光の姿も
ほぼ元の状態に戻っていた
その時
加州清光は
ほころぶように
うっすらと
微笑んだ
手入れしてよかった
笑顔を見れたから
気配がほんの一瞬
鋭くなったかと思うと
あちこちから声が聞こえる
話し合ってるみたいだ
その時
1つの影が動いた
彼が名乗りを上げた瞬間
外野が騒がしくなった
“本当にいいのか”とか
“正気!?”とか
色々聞こえても
彼はこちらに寄ってくる
彼の兄はとても心配そうに見ているが
彼自身は至って冷静だ
もう一度同じ符を書く
薬研藤四郎の本体を受け取り
符を張り
同じように
一言
唱える
……
薬研藤四郎の本体は
元の状態に戻り
彼自身も
傷が消えていた
あれ?
今薬研藤四郎くん
俺のこと
“大将”
って呼んだ?
聞き間違いかな
もう耳が遠くなってるかもしれない……(現実逃避)
……
よし
懐かれないようにしないと
もし契約したら
すんなり死ねなくなるじゃん
俺は
死ぬためにここに来た
契約するわけにはいかない













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!