~???side~
ゆうたが、 " 俺 " の手を握っている。
感触とか、温かさは感じない。
ゆうたが静かに話し出す。
俺はもう居ないのに。
俺に繋がれた心電図モニターは、一定になって何も刻んでいないのに。
「俺も、ゆうたのことが大好きだよ」
そう思い伸ばした手は、ゆうたをすり抜けていく。
あー、俺、ほんとに死んだのか…
認めたくないなぁ……
もっと、こいつらと動画撮りたかったなぁ…
無理だよ。
俺、ゆうたがいない世界なんて嫌だよ。
あれ?これって、生きてる方が言うセリフじゃない?
……まぁ、いっか。
俺が涙脆いの知ってるでしょ、、?
ほんとに?約束だよ?
…でも、ゆうたには長生きしてほしいなぁ。
俺の分まで生きてほしい、とはこの事だろうか。
ありがとう。
でも、向こうでも俺、仕事のこと考えちゃうかもなぁ、w
……泣かせに来てるよね。ほんとやめて…
…ごめんね。
俺も、言おう言おうって思ってタイミング逃しちゃって…
そう言うと、ゆうたはバッと顔を上げる。
届くはずないのに。聞こえるはずないのに。
…え?まさか。
聞こえるわけ、ないって。
すると、ゆうたは立って俺の体に近付いた。
何をするのかと思ったら、ゆうたは俺の顔に自分の顔を近付けて、口付けた。
触れられていないはずなのに、唇に感触があった。
……あーもう、やだやだ。
ますます好きになっちゃったよ…
離れたくないよ、、ゆうた、ゆうたっ…
…お前、両想いだと仮定して話してる?
まぁ、可愛いからいいや。両想いだし。
ダメだよ、ゆうた。
俺は、お前には生きてほしいの。
ゆうたに手を伸ばす。
触れられないと分かっていても…
~yuta side~
さっき、やまとの声がしたような気がした。
そして今、何かが俺の頭を撫でた。
…風?それとも………
今やまとが目を覚ますなら、なんでもするのにな……
もう二度と動くことはないやまとの顔を見て、そんな事を思った。
ありがとう、やまと。
おつかれ、やまと。
お前は、最高の男だよ。
───さようなら、やまと。
まだ続きます!!
デイリーランキング(ファンタジー)35位ありがとうございます!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。