お葬式当日。
お葬式に出たいって言ってくれるYouTuberは沢山いたけど、逆にいすぎて会場に入らなかったので、スカイピースの2人だけ呼んだ。
パーティーじゃないしね。
ほんとは平フラとかばんばんざい呼びたかったんだけどうるさくなりそうだからやめた。
スカイピースの2人は天を仰いでいる。
やまともきっと、2人にはとても感謝しているだろう。
ベテランでありながら、若手である自分たちと同じような空気感で、俺らのやりやすいようにしてくれた。
俺らは、それに何度も救われてきた。
心からの感謝を込めて、2人に頭を下げた。
それから、お焼香などが終わって、いよいよ火葬だ。
あっちゃんはやっぱりまだ割り切れていないようで、やまとの棺の淵をギュッと握っていた。
ゆうまが、あっちゃんの肩にぽん、と手を置いた。
スカイピースの2人が、震える声でやまとに別れを告げる。
みんなはさよならを言い終えたので、向こうから棺を見守っている。
そんな中、何気に1番踏ん切りがついていない俺は、いつまでもやまとの隣に立っていた。
すると、ガタガタ、と棺が揺れた。
そんなまさか。
俺がそう叫ぶと、炉に向かうレールが止まった。
バーン!!!
と大きな音がして、棺が壊れた。
中からは、死んだはずのやまとが出てきた。
あまりの出来事に本音を垂れ流してしまう。
周りを見ると、みんな状況が掴めず固まっている。
そう言うと、やまとは俺に抱きついてきた。
……温かい。やまとの匂い。
それだけで、俺の涙腺を壊すには十分だった。
心配どころじゃねぇよ、バカ。
みんなが駆け寄ってくる。
あっちゃんなんて号泣している。
あっちゃんに気付いたやまとは、あっちゃんを抱きしめる。
不審がるような目で、ひゅうががやまとを見る。
なにそれ、神様と会話したってこと?
ゆうまはまだ疑っているらしい。
まぁ、そりゃそうだよな。
やまとはニヤニヤしている。
良かった、いつものやまとだ。
俺はホッと息をついた。
俺もそう思うよ、あっちゃん。
俺は何も言わず、あっちゃんを抱きしめた。
あっちゃんは泣きじゃくりながら、背中に手を回してくれた。
欲しい物をねだる子どもみたいだった。
その後、式場の人達に生き返ったと伝えたら、腰を抜かして驚いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。