あなたside
固まったまま動かない孝支くん。
顔をのぞき込むと一気に首、顔、耳を真っ赤にさせて孝支くんが動き出した。
今までそういう雰囲気になった事がないから言ってみたんだけど……
私に抱きついてくる孝支くん。
余裕なんてないけど、、笑
孝支くんから離れて私はお風呂に入りに行った。
菅原side
お風呂場から少し離れたところにいるけど水の音は聞こえるわけで……
シャワー音や湯船の水が溢れる音などが聞こえてくる。
水音しか聞こえない室内で俺の声が響く。
いや、大丈夫。
菅原孝支。
頑張れ。
踏ん張れ。
とりあえず俺も風呂上がるまでは何も考えずに「無」になれ。
あなたside
さすが温泉地、別府。
湯船の水がトロトロでお風呂上がりの今、お肌がすべすべである。
孝支くんにも早く入って欲しいし私は素早く着替えて脱衣所から出た。
孝支side
ドアを開けて俺の元へと来たあなたは備え付けの浴衣を着ている。
かわいい。
すっげぇかわいい。
濡れてる髪も、少し紅くなった頬も。
そう言って化粧水やらを塗っているあなたの浴衣の裾を掴む。
意味分かりません、とでもいうようにあなたはスキンケアを進める。
今すぐにでも抱きついて匂い嗅ぎたいけど俺はまだ風呂入ってなくて汚いし……
髪にヘアオイルを付け出したあなたを横目に俺はお風呂場へと向かった。
あなたside
孝支くんがお風呂に入ってすぐにドライヤーをする。
本当は孝支くんに乾かして欲しかったけどまぁいいか……
10分弱で乾かし終わり、スマホを触っていると孝支くんが上がってきた。
一直線に私まで走ってきた孝支くんは私に抱きついてきた。
コテンッと、首を傾げる孝支くんのお顔はきゅるきゅるキュートなのに浴衣からはみ出た腕は男らしくて、濡れた髪の毛は色気が増していて……
孝支くんは胸を掴んでうずくまってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。