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第1話

喧嘩  二口堅治
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2026/01/20 00:58 更新
「あっそ、じゃあ勝手にしてください。」
いつも生意気な二口だが、その一言を言った瞬間、顔が泣きそうになっていた。
悪いのはそっちなのに。
喧嘩の原因はいつも二口が「ばーか」というからだ。
付き合っていても馬鹿にされるのは悲しい。
___今日ついに爆発してしまった。
二口「なんか今日ブスくね?」
あなたの名字「…そうですか。」
二口「…は?いつもなら言い返してくんのに。」
あなたの名字「…」
二口「ばーか…」
あなたの名字「あっそ、じゃあ勝手にしてください。」
私が繋いでいた二口の手を振りほどく。
 その瞬間、二口の目が赤くなり、光が反射する。
まさかとは思ったが、
二口の目から涙が一粒落ちた。
あなたの名字「⁉……」
私は走って逃げてしまった。
 二口が泣いたので、やりすぎた、ごめんという気持ちがあったけど、いつも「ばか」「あほ」「間抜け面」など言われてきた。
___私はもっとひどいこと言われてきたのに
と思ってしまった。
結局、その日は仲直りできず終わった。
あなたの名字「あ、え?不在着信?」
青根さんからの不在着信があった。
プルルルル
________まさか二口になにかあったのだろうか
最悪の事態が頭によぎる。
青根「あなたの下の名前か?」
あなたの名字「はい、そうです。」
青根「昨日、二口が泣きながらうちに来た。」
あなたの名字「⁉」
青根「今からうちに来れるか。」
あなたの名字「あ、はい、行けます。」
青根「分かった。」
プツッ
え?嘘だ……二口が…?
青根「中に入ってくれ。」
あなたの名字「は、はい。」
ガチャ
二口「うっ、うっ……」
あなたの名字「堅治⁉」
二口は号泣していて、真っ赤に目を腫らしていた。
その光景に、思わず名前を叫んでしまった。
二口「今まで…っ、ひどいこと沢山言ってきたよな…本当に悪かった……」
初めて二口が謝ってきた。
‘‘悪かった‘‘と
あなたの名字「私も、ごめん…堅治がこんな泣くと思わなくて、あの、」
混乱して言葉が詰まってしまう。
あなたの名字「でも、もう仲直りしよう…?」
これだけは言いたかった。
二口「良いのか…?」
あなたの名字「うん!」
あなたの名字「青根さん、ありがとうございました…!」
それに対して青根さんがこくりと頷く。
__________
二口「言い訳っぽく聞こえるかもしれないけどさ、俺、あなたの下の名前のこと誰にもとられたくなくて、ひどいこと言っちまったんだよな…なんて言えばいいか分かんねぇけど、あなたの下の名前のこと、好きすぎて…」
堅治なりの照れ隠しなんだなぁ
と愛おしく感じた。
昨日振りほどいてしまった手を、強く握る。
二口「おいっ、力強ぇよ!」
堅治の目がまた潤んでいたのは、言わないでおこう。

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