私、どうしてわざわざ病院の前に居るんだろ?
それに何故か手に紙を握っている。絶対離さないようにと力を入れていたからか、思ったよりもくしゃくしゃだ。
折りたたまれていたそれを開くと、何やら気になることが書かれていた。
"蛍原すみれの家族が操られ行方をくらませた。原因は『都市伝説』。中でも『きさらぎ駅』に妹が居ることだけは分かっている。"
状況が飲み込めず困惑する。そして続きには見知らぬ住所が表記されていた。
怪しく思いながらもネットで検索すると、どうやらそこは"なんでも屋"みたいだ。
確かに幽霊の類は誰からも信用されないため、頼むならこういう場所でないと難しいのは分かる。
だけど筆記の仕方も私のものではない。…というか、陽菜に似ている気がする。
彼女はもう亡くなったというのに、まだ引きずっているのか…と少し当たり前のことを考える。忘れるなんて一生無理な話だ。
こんな場所で発作を起こしても危ないので、誰も気づかれないようそっと自身の病室へと向かった。
病室へ着き、すぐにベットへダイブすると、おかしなことにどっと疲れが押し寄せてきた。
そのまままぶたを閉じれば、すぐに深い眠りへ誘われる。
少しの間眠っていたんだろうけど、何故だか急に目が覚めてしまった。
もちろんこの病室には私以外居ないはず。それなのに強い視線を感じるのは何故なのだろうか。
それも不気味に感じるはずなのに、私は特に何とも思わなかった。むしろ懐かしささえ覚えるような感覚だ。
思ったことを口に出せば、視線の原因とやらは姿を現してくれた。
やはり、視線の正体は真波で合っていたようだ。
入ってきたのは病室からだったけど、視線はこの部屋全体から感じていた。
…きっと私は、それらにも知らないフリをしているのだと思う。
さっき、何故か外に居たのと関係があるのかな。
そういえば今日、私は一体何をしていたんだっけ?
真波は自信なさげに、それでも覚悟を決めたかのように告げた。
だけど、私はまるで意味がわからなかった。
真波は緊張しているのか呼吸が乱れていて、涙まで浮かんできている。
そこまでして話さないといけないことって、本当に何なのだろうか。
私は真波に手を添えた。
これから何を伝えられるのかと緊張が走るけど、真波がこれ以上傷つくのは最も嫌なことだ。
だから、私なりに今の気持ちを伝えるしかない。
真波は穏やかに微笑むと、深呼吸をして告げた
衝撃すぎて言葉に迷っていると、真波はその反応を分かっていたかのように苦笑した。
なんてことの無いように話しているけど、きっと相当な勇気がいることなんだろうな。本当は
だけど、それに対していくつもおかしい事がある。まずはそれを質問することにした。
確かに衝撃で驚いたけど、こっちも相応の心の準備が出来ていたおかげですぐに冷静になれたな。
そんなのあんずからも聞いたことはない。何か他に原因があるのか、それとも…
もしかして、すぐそばに居た真波が一番すごい幽霊なんじゃ!?と思うくらいだ。
そしてそのタイミングで私は気づいてしまった。真波が私に話しにくかったのは、きっと私自身が霊媒師だからというのもあるのだろう。
これ以上の衝撃的なことがあるのか…なんて内心まだ驚いているが、次こそ私が本当に言葉を失う発言だった。
私が散々患っていると思っていた精神疾患なんてない?一体何を言っているんだろうか。
現に、私は1人になったり、感情が昂りすぎるとすぐにパニックを起こしてしまう。
何故だが、私の頭は妙に冷静だった。
それはきっと、普段の真波の行いも関係しているのだと思う。
信頼がないと私はこんな言葉、出てこないと思うから
真波は頭を深々と下げるが、これ以上彼女が精神的にくるような行動は見たくない。
発言や行動には気をつけなくては。
話を要約すると、真波は"孤立"をとにかく嫌がっていて、霊感しかない私を見つけて能力を使ったらしい。
能力自体はいくつもあるが、私に使ったものだけは言葉にするのも嫌みたいだ。
ただ精神的なもので、簡単に言えば洗脳らしい。
霊感もあるのだろうが、どうして条件の悪い私を選んだのかは、謎のまま。
真波は添えていた私の手に触れ、自身の首に当てた。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。