第23話

17."頑張ったね"
389
2023/11/22 05:32
ぱらり
ぱらり
すみません、今日長いです。

憂太side






先生に任務だと伝えられた僕は、禪院さんと一緒に何かの学校のような建物の前に来ていた。







建物からは何やら不気味な雰囲気を感じ、寒気がする。




乙骨 憂太
乙骨 憂太
ここは?
五条 悟
五条 悟
ただの小学校だよ
乙骨 憂太
乙骨 憂太
えっ……
五条 悟
五条 悟
ただの、校内で児童が失踪する小学校



五条先生が立ち止まって言った。




乙骨 憂太
乙骨 憂太
失踪!?
五条 悟
五条 悟
場所が場所だからね
五条 悟
五条 悟
おそらく自然発生した呪いによるものだろう
乙骨 憂太
乙骨 憂太
子供が呪いによって攫われたと言うことですか?


僕たちの前を先導して歩いていた先生は後ろを振り向きながら答える。
五条 悟
五条 悟
そ、今んとこ二人
禪院 真希
禪院 真希
大勢の思い出になるところにはな、呪いが吹き溜まるんだよ




禪院 真希
禪院 真希
学校、病院…
禪院 真希
禪院 真希
何度も思い出され、その度に負の感情の受け皿となる
禪院 真希
禪院 真希
それが積み重なると、今回みたいに呪いが発生するんだ


五条 悟
五条 悟
呪いを祓い、子供を救出…
死んでたら回収だ
乙骨 憂太
乙骨 憂太
え?死…?


(…死んじゃってることもあるの…?)






そう思った僕の隣で先生が右手の指を2本立てて何か唱えた。


五条 悟
五条 悟
闇より出でて闇より暗く、そのけがれをみそぎ祓え

乙骨 憂太
乙骨 憂太
…あ……!夜になってく


五条 悟
五条 悟
五条 悟
五条 悟
君たちを外から見えなくし、呪いをあぶり出す結界だ



まるで頑張れよというように僕の肩に一度手を乗せてから先生は帳の範囲外に歩いて行く



五条 悟
五条 悟
内側から簡単に解けるよー


帳の範囲外に出た先生は後ろを振り返りながら言った。



五条 悟
五条 悟
それじゃあくれぐれも…
五条 悟
五条 悟
死なないように。


乙骨 憂太
乙骨 憂太
"死"って…
乙骨 憂太
乙骨 憂太
先生!((
禪院 真希
禪院 真希
((転校生。


パサッ…


武器を入れていた袋が禪院さんの足元に落ちる。
禪院 真希
禪院 真希
余所見してんじゃねーよ

武器を回しながら禪院さんは薙刀を構えた。



呪霊
ハ…イ………る…?

乙骨 憂太
乙骨 憂太
うっ……


怖…!と思いながら少し後ずさる。

呪霊
ハい……ル?

舌を出しながら大きな口を開けてこちらへ走ってくる呪霊。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
こ…こっちに来る!
乙骨 憂太
乙骨 憂太
どどど…どうしよう!!
禪院 真希
禪院 真希
わめくな


一瞬にして禪院さんは呪霊の方へ跳んだ。
禪院 真希
禪院 真希
覚えとけ
禪院 真希
禪院 真希
呪いってのはな……



禪院 真希
禪院 真希
弱いやつ程よく群れる


そう言って禪院さんは薙刀を振り回して三体の呪霊を倒した。


禪院 真希
禪院 真希
ま、そりゃ人間と同じか



(……すごい…一振りで…!)

禪院 真希
禪院 真希
オラ、さっさと行くぞ
乙骨 憂太
乙骨 憂太
えっ、どこに?
禪院 真希
禪院 真希
校内な かに決まってんだろ


そういうと禪院さんは校舎の方へ歩いていく。

禅院さんが僕の前を堂々と歩いていた。


乙骨 憂太
乙骨 憂太
うぅ…うぅ……


(こ、ここここ怖っ…!)


乙骨 憂太
乙骨 憂太
禪院さん…怖くないの?
禪院 真希
禪院 真希
苗字で呼ぶな
乙骨 憂太
乙骨 憂太
ごっ…ごめん
乙骨 憂太
乙骨 憂太
でも…滅茶苦茶出そうだよ



乙骨 憂太
乙骨 憂太
もう出てるけど…


廊下を振り返ると、教室のドアから呪霊が顔を覗かせてこちらを見ているのがわかる。


禪院 真希
禪院 真希
("帳"が降りてるのに呪霊の数が少ない)
禪院 真希
禪院 真希
(…いや、いるのに襲って来ない)
禪院 真希
禪院 真希
(まさか乙骨コ イ ツがいるからか…?)
乙骨 憂太
乙骨 憂太
あ…今なんか動いた…!




禪院 真希
禪院 真希
おい
乙骨 憂太
乙骨 憂太
はい!?
突然、禪院さんが話しかけてきた


…僕に。
禪院 真希
禪院 真希
お前、何級だよ?



(……何級?)



乙骨 憂太
乙骨 憂太
え?英検?

禪院 真希
禪院 真希
呪術師には四からーの階級があんだよ
乙骨 憂太
乙骨 憂太
でも僕、呪術高専来たばっかだし……
乙骨 憂太
乙骨 憂太
そんなん、ないんじゃ…?
禪院 真希
禪院 真希
ああ…もういい、学生証見せろ
禪院 真希
禪院 真希
バカ目隠しからもらったろ?



(バカ…目隠し??)



目隠しの五条先生の顔がいっぱい頭をよぎる。



乙骨 憂太
乙骨 憂太
はい、どうぞ


パシン

僕の学生証は奪い取られた…
禪院 真希
禪院 真希
(ま、前歴なしで入学なら四級…)







禪院 真希
禪院 真希
(と、特級!?)
禪院 真希
禪院 真希
(特級って…一級のさらに上だろ)
禪院 真希
禪院 真希
(こんなん冗談でしか聞かねーレベルだろ)
禪院 真希
禪院 真希
(あ、でもあなたも特級だっけか)






乙骨 憂太
乙骨 憂太
…禪院さん
乙骨 憂太
乙骨 憂太
禪院さん、禪院さん!
乙骨 憂太
乙骨 憂太
後ろ!
禪院さんが振り返る先にいたのは、本当に大きな呪霊だった。


バリン!!




ガシャガシャンバリンバリン!!!


呪霊
ヴガあ"ァ"ァァァ"ぁ!
校舎の窓は全て割れ、壁が崩壊し、呪霊の全貌が現れる。




禪院 真希
禪院 真希
チッ…
禪院 真希
禪院 真希
無駄にデケェな!


空中で身をかわし、呪具を振り回して攻撃しようとする禪院さん。




禪院 真希
禪院 真希
このーっ!

すると呪霊は上を向き大きな口を開けて構えた。


禪院 真希
禪院 真希
げ!


禪院さんの呪具は呪霊の歯に当たって弾かれてしまう。



そのまま僕も一緒に呪霊の口の中へ落ちてしまった。



ゴクン…
呪霊
ごチ…ゴチ…ゴチそォォサマァァァン
禪院 真希
禪院 真希
クソッ!クソッ!
禪院 真希
禪院 真希
呪具落とした!
禪院 真希
禪院 真希
出せゴラァ!


気を失っていたらしい僕は、禪院さんのそう怒鳴る声で目を覚ました。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
ここは?
禪院 真希
禪院 真希
あの呪いの腹の中だよ、こんくらいで気絶してんじゃねー



(えっ………てことは…)


乙骨 憂太
乙骨 憂太
ってことは食べられたの!?
禪院 真希
禪院 真希
そうだ、テメエ
禪院 真希
禪院 真希
呪いに守られてんじゃねーのかよ!


禪院さんが僕を指差しながら言う。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
里香ちゃんがいつ出てくるか僕もよく分からないんだ!
乙骨 憂太
乙骨 憂太
それよりどうするの!?
禪院 真希
禪院 真希
時間がきて、帳が上がれば助けが来る



禪院 真希
禪院 真希
クッ……
禪院 真希
禪院 真希
恥だ、クソッ!


モブ
モブ
助けて…
禪院 真希
禪院 真希
あ?
モブ
モブ
お願い、こいつ死にそうなんだ


そこにいたのは一人の男の子と、その子よりも小さいもう一人の男の子だった。

回想

乙骨 憂太
乙骨 憂太
子供が呪いに
揚われたってことですか?
五条 悟
五条 悟
そっ、今んとこ二人
五条 悟
五条 悟
呪いを祓い、子供を救出。
死んでたら回収だ。


乙骨 憂太
乙骨 憂太
よかった、生きてた…
禪院 真希
禪院 真希
よくねぇよ

乙骨 憂太
乙骨 憂太
え?

禪院 真希
禪院 真希
ちゃんと見ろ
禪院 真希
禪院 真希
デカいほうも完全に呪いにあてられてる
禪院 真希
禪院 真希
二人とも、いつ死んでもおかしくねぇ
乙骨 憂太
乙骨 憂太
そんな…どうすれば!

禪院さんの方に駆け寄って聞くが…

禪院 真希
禪院 真希
どうにも!
禪院 真希
禪院 真希
助けを待つしかねぇよ…
禪院 真希
禪院 真希
誰もがお前みてぇに
禪院 真希
禪院 真希
呪いに耐性があるわけじゃねーんだよ…



なぜだか禪院さんは少しふらついてきたように見えた。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
ん?禪院さん?

ドサッ…



(!?)



そのまま禪院さんは倒れる。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
禪院さん!?


ふと彼女の太ももを見ると、擦り傷のようなところにたくさんの目が並んでいた。
乙骨 憂太
乙骨 憂太
なんだこの傷…
乙骨 憂太
乙骨 憂太
呪いがかかってるのか?
モブ
モブ
お姉ちゃん、死んじゃうの?


男の子の声にハッとする。

モブ
モブ
ねぇ、助けてよお兄ちゃん


モブ
モブ
ねぇ!


男の子は涙を流しながらそう僕に問いかけた。

乙骨 憂太
乙骨 憂太
そんなこと言ったって……
乙骨 憂太
乙骨 憂太
無理だよ、僕……



ガシッ…
禪院 真希
禪院 真希
乙骨…


禪院さんが僕の胸ぐらを掴んで言った。

禪院 真希
禪院 真希
お前、マジで何しに来たんだ
禪院 真希
禪院 真希
呪術高専によ!
禪院 真希
禪院 真希
何がしたい!何か欲しい!何を叶えたい!



………僕は




乙骨 憂太
乙骨 憂太
僕は…
乙骨 憂太
乙骨 憂太
もう誰も傷つけたくなくて
乙骨 憂太
乙骨 憂太
閉じこもって消えようとしたんだ


僕が閉じこもっていたあの部屋の記憶が蘇る。


乙骨 憂太
乙骨 憂太
でも一人は寂しいって言われて


乙骨 憂太
乙骨 憂太
言い返せなかったんだ…





乙骨 憂太
乙骨 憂太
誰かと関わりたい…
乙骨 憂太
乙骨 憂太
誰かに必要とされて、
乙骨 憂太
乙骨 憂太
生きてていいって自信が欲しいんだ!











禪院 真希
禪院 真希
じゃあ祓え


禪院さんの言葉にハッと気付いた。

禪院 真希
禪院 真希
呪いを祓って祓って祓いまくれ!
禪院 真希
禪院 真希
自信も他人も、その後からついてくんだよ!
禪院 真希
禪院 真希
呪術高専は____











禪院 真希
禪院 真希
そう言う場所だ!


ドサッ…

最後の力が尽きて禪院さんは倒れる。










僕は自分の首にかけてあるネックレスから指輪を引きちぎった。







(………里香ちゃん)




折本 里香
折本 里香
なぁに?


先程の指輪を自身の左手の薬指にはめる。
(力を貸して…!)


大きな呪霊の腹が、中から何やら尖ったもので突き破られた。




折本 里香
折本 里香
イア"ァ"ぁ"ァ"ァ"ァァぁ"ァァ"
呪霊
あァオゥヴゥゥゥ"……ダアァれエェ?
折本 里香
折本 里香
"ァ"ァ"ァ"ぁ"ァァぁ"ァァ"


グシャ…



大きな呪霊の頭は里香ちゃんの爪に潰された。





折本 里香
折本 里香
ウるザァイぃ!!!


ベシャ…




呪霊の血が大量に吹き飛ぶ。




あなたside
あなた
……!



(何、この呪力!?)



丁度任務が終わって一休みしていたところで、




尋常じゃないほどの呪力を、ある小学校の方から感じた。


あなた
…折本……里香…!?


急いでそこへ走って行く。






小学校に向かう道の途中で、悟を見つけた。

あなた
悟…!


悟はこちらを振り返る。

五条 悟
五条 悟
お、あなたやっほー!
五条 悟
五条 悟
お疲れ、任務帰り?
あなた
うん
あなた
それよりあれ…大丈夫なの?
五条 悟
五条 悟
何がー?
あなた
折本里香…暴走でもしたら…!
五条 悟
五条 悟
だいじょーぶ!なんかあったら僕が止めるよ


まぁ、そっか。悟、最強だし。



そう思って内心ほっとする。



すると、



ベチャッ…という音と共に呪霊の血が、校外の壁にまで飛び散ってきた。




あなた
………凄まじいね


悟も同じようなことを考えていたようで、コクコクと頷いていた。

あなた
これが特級過呪怨霊、祈本里香の全容かぁ…
五条 悟
五条 悟
ククク...怖い怖い
憂太side
折本 里香
折本 里香
ワァァ"…ギれイ"ィィぃ!


里香ちゃんが呪霊の血を見ながら言った。
折本 里香
折本 里香
リか、キれ"ェ"ナ"の……
折本 里香
折本 里香
すギぃィィ"ィィ"ィ"ぃ"!!


里香ちゃんが呪霊の腹を引き裂いていく。




屋上から大量のの血が流れ、飛び散り、降ってきた。




僕は両手に二人の子供、背中に禪院さんを抱えた状態で歩いている。


乙骨 憂太
乙骨 憂太
……みんな
乙骨 憂太
乙骨 憂太
もう少しだから……

(早くみんなを先生に診せなきゃ……)

(呪いが里香ちゃんの気を引いてるうちに…)




だが、禪院さんみたく運動神経がいいわけでもない僕にとって、




子供二人と女性一人を運ぶのはキツかった。



それでも………




乙骨 憂太
乙骨 憂太
…ッッ!


(まだ、倒れるな……!)




(まだ!)




それでも僕は、力を振り絞って一歩一歩歩いた。




(ここで変わるって、決めたじゃないか!)













折本 里香
折本 里香
頑張れ
折本 里香
折本 里香
憂太
乙骨 憂太
乙骨 憂太
……!


(…里香ちゃん。)




乙骨 憂太
乙骨 憂太
……うん
乙骨 憂太
乙骨 憂太
頑張るよ!
あなたside





帳が消え、憂太が校門の前に倒れる。





その手には、真希と二人の子供が抱えられていた。





(無事に戻って来れたんだね…よかったぁ)




私と悟は顔を見合わせて微笑んだ。

2人
おかえり



あなた
頑張ったねニコ








ぱらり
ぱらり
スクロールお疲れ様でした!

すごい……長くなっちゃいました…スミマセン
ぱらり
ぱらり
3,000文字以上、書いた!頑張った!ちょー長かった…
ぱらり
ぱらり
♡、☆、コメント待ってまーす!
ぱらり
ぱらり
交換宣伝、だれかお願いします!…本当に!(切実な願い)

プリ小説オーディオドラマ