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第20話

16話 アイドルだから
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2026/02/14 12:01 更新

衣装を着て、メイクをしてもらう。

スタッフ
はい、これで完成!
あなた
ありがとうございます

みんなとスタッフさんのおかげで、体調も少し良くなった。


準備もバッチリ。


モニターを確認すると、ちょうどラストの曲をやっていた。


お客さんのボルテージも最高潮だ。


ステージ前方、上方から噴射される大量の炎。


……………客席側にいても熱いから、ステージはもう地獄だ。

あなた
(大丈夫。きっと、上手くやれる…………………)

今回のことは、ちゃんと反省しよう。


「さすがに無理でした」って、ボスにも謝ろう。


もしくは、もう少し作業効率を上げて_______________

入るよー

コンコン、とドアが叩かれて、一気に開く。

あなた
お疲れさま
佐久間大介
体調は…………………大丈夫そうだね
あなた
心配かけてごめん。もう平気だから

ツアーTシャツに、直前の衣装のズボン。


私だって、みんなと同じ格好でステージに立ちたいから。


アンコールを待つお客さんの熱気を、液晶越しに感じる。

あなた
……………………早く、行かなくちゃ
佐久間大介
うん!

確かな足取りで廊下を歩く。


ステージが近づくと、会場の空気が肌を刺激した。

あなた
(すごい鳥肌……………………こんなの、初めてだ)

本当は少し、怖いのかもしれない。


秘密も、目的も、いつかはみんなにバレてしまう。


バレても、全然大丈夫だと思ってた。


だってここは、ただの踏み台でしかなかったんだから。


でも。

深澤辰哉
…………………あっ!
ラウール
来たー!
あなた
お待たせ。遅くなってごめんね
宮舘涼太
体調は?

その言葉に、黙って首を縦に振る。

渡辺翔太
ほんとに大丈夫?
あなた
大丈夫だって
阿部亮平
ファンのみんなも、
あなたの下の名前のことずーーっと待ってた
岩本照
「あなたの下の名前は体調不良で欠席です」って
言った時、みんなめっちゃ悲しんでた
あなた
………………だから、早く会いに行かなきゃね

今もみんなが、私“たち”を呼んでくれてる。

スタッフ
準備できましたー!
向井康二
よしっ!いっちょやったるか!
佐久間大介
ラスト3曲、かますぜぇ!

もう少し。

深澤辰哉
じゃあ、待ってるね
あなた
…………………すぐ追いつくから
宮舘涼太
気をつけてね

もう少し。


お客さんの歓声が大きくなる。


あっという間に1曲が過ぎていく。


嫌いな時間はずっと続くのに、


楽しい一瞬は、永遠になんてならない。


……………………だけど。



佐久間大介
__________迎えに来たよ
あなた
…………………っ!

階段の先にいるのは、かけがえのない仲間。


逆光で輝く佐久間が、マイクを差し出してくる。


まるでそれは、シンデレラが王子様に巡り合ったようで。


なんだか私は、泣きそうになった。

佐久間大介
なーんてね!
ほらっ、行かないの?
あなた
行くに決まってんじゃん!

もう、迷いはない。


ここは、「どうでもいい場所」なんかじゃないんだから。


マイクを握りしめる。エネルギーが身体を伝う。


嘘つきでもいい。どんな私でもいい。


…………………どうかもう少し、ここにいたい。


だって私は_______________























あなた
(アイドル、だから!)






一つ一つ、階段を踏みしめて。







光の中へと飛び込んでいった。




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