父に呼び出された。私は、父の部屋へと向かって行く。
ふすまに向かって声をかける。
…やっと、謝った…
ふすまを閉める。
久しぶりだな、こんなふうに言われたの。
…しかも、本気でそう思ってた。
暇だ。今まで『十二支巡り』に忙しかった からなのだろうか。記憶はないのに、なぜかそう思う。
私とそっくりな声が聞こえる。
頭に風景が浮かび上がる。…神社の裏だ。
気づいたときには、私の足が動いていた。
神社の裏についた。でも、そこには誰もいない。
誰かのイタズラなのだろうか。いや、それはない。力を使えるのは、桜井家の巫女である私だけなのだから。
一歩踏みだす。そうすると、辺りが真っ白になった。
目の前に立っていたのは、
紛れもなく"私"だった。
…ちょっと待って。貴方は結局だれなの?
…よくわからん…
うん、すごく典型的なアレね。
なろほど…
じゃあ、記憶がなくなってからのことは全部幻ってこと?
…なるほど。
でも、何でわざわざ助けてくれるの?
…何でもないです…
…よろしくお願いします。
1065文字です!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。