第7話

#
419
2026/02/13 10:03 更新




「だいじょうぶって、こわい」






 

くらい。

 


へやが、くらい。



 

でんきは、ついてるのに、
ちぐさの目には、くらく見えた。


 
tg
……いや……


ベッドのはしで、
ちいさく、からだをまるめる。


 

おなかのあたりが、
きゅって、ちぢむ。


 

なにがこわいのか、
じぶんでも、わからない。


 

でも。


 

こわい。

 

tg
……まま…………


もう、いない名前を、よんでしまう。

 


すぐ、くちをおさえた。


 

よんでも、こないって、
しってるから。

 



ドクン。



 

むねが、はやくなる。



 

ドクン、ドクン。



 
tg
……やだ……やだ……


あしが、びりびりする。

 


からだが、じぶんのじゃないみたい。

 
tg
たすけて……


こえが、かすれた。

 

そのとき。

 
pr
ちぐ


やさしいこえが、した。

 

ぷりちゃんのこえだった。

 
pr
ここ、おるで


ベッドのよこに、すわってた。


 
pr
……いなくならへんよ


ちぐさは、ぎゅっと、
ふとんをにぎった。


 
tg
…ほんと?
pr
ほんと


ぷりちゃんは、すぐにさわらなかった。

 


ただ、そこにいるだけ。

 

pr
こわくなったら、ここにおるって、思い出して


ちぐさの呼吸は、
まだ、はやい。


 

でも、さっきより、すこしだけ、
ばらばらじゃなくなった。

 
tg
……だいじょうぶ?


ちぐさが、きいた。

 

ぷりちゃんは、ちょっとだけ、考えてから言った。


 
pr
だいじょうぶ、じゃなくてもええ
pr
こわいままで、ここにおってええ


その言葉が、
胸の奥に、ぽとんって落ちた。

 


こわいのは、
なくならなかった。


 

でも。

 


ひとりじゃない、ってことだけは、
ちゃんと、わかった。



 

ちぐさは、目をとじた。


 


なみだが、すこし、にじんだ。


 

それでも。

 




この夜は、
ひとりで泣かなくてよかった。

 




tg
空乃 千草(そらの ちぐさ) 

5歳 / 男の子

不安障害、てんかん発作あり



『ぅゎぁぁっ もう、いや、だぁっっ!!』



寂しさに敏感な子。

誰かの姿が見えなくなるだけで、不安が押し寄せる。
抱っこが安心。

名前を呼ばれると落ち着く。

極度のかまってちゃん。
でもそれは弱さではなく、「つながっていたい」という本能。

笑うと年相応の幼さがこぼれる。

怖がりだけど、信頼した相手にはとことん甘える。

守ってあげたくなるタイプ。




プリ小説オーディオドラマ