-ミナ side-
あれから一週間が経った。
毎日胸の奥がざわついて、夜になるとサナさんの温もりを思い出して眠れなくなる日が続いた。
あの柔らかい唇の感触、耳元で囁かれた優しい声、
髪を撫でてくれた指のぬくもり。
全部が頭から離れなくて。
だから今日は我慢できなくて店に向かった。
受付で名前を聞かれて今度は少しだけ声が大きくなった。
スタッフさんがにこっと微笑んで
個室に入って待っている間、膝の上で手を重ねて指を何度も組み替えた。
心臓がまたうるさくて、でも今度は怖いんじゃなくて楽しみで期待で胸がいっぱいだった。
ドアが開く音。
サナさんが入ってきた瞬間、目が合って彼女の唇がふっと柔らかく笑った。
その声だけで涙が出そうになった。
私は立ち上がって、でも足がすくんで動けなくて。
サナさんがゆっくり近づいてきて私の手をそっと取った。
一週間前と同じように冷たくなった指を温めてくれる。
私はこくこくって、激しく頷いた。
サナさんは小さく笑って腕を広げてくれた。
その言葉に私はもう我慢できなくて彼女の胸に飛び込んだ。
今日のサナさんは少しだけ強くでも優しく私を抱きしめてくれた。
背中に回された腕がまるで「もう離さないよ」って言ってるみたいで。
首筋にサナさんの吐息がかかってシャツ越しに伝わる心臓の音が私のものとぴったり重なる。
耳元で囁かれて私は恥ずかしくて顔を彼女の胸に埋めた。
サナさんの声が少し震えてる気がした。
その言葉に私の胸が熱くなって涙がぽろぽろこぼれた。
サナさんは私の髪を優しく撫でて、顎に指を添えて顔を上げさせてくれた。
濡れた目で彼女を見るとサナさんの瞳も少し赤くなってる。
私は今度は恥ずかしがりながらもちゃんと目を合わせて頷いた。
サナさんの唇がゆっくり近づいてきて触れた瞬間、
一週間分の想いが全部溢れ出したみたいだった。
ただ触れるだけのキス。
でも何度も何度も角度を変えながら優しく、丁寧に。
唇が少し腫れるくらいに繰り返されて吐息が甘くなって、
私は小さな声で彼女の名前を呼んだ。
サナさんは私の背中をぎゅっと抱きしめて耳元で囁いた。
私はこくこくって頷いて彼女の胸に顔を埋めた。
この温もりの中で一週間待った分全部溶かしてしまいたかった。
サナさんの腕の中で私はもう完全に安心しきっていた。
心の中でそう呟いた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!