手を掴んだのはほとんど反射だった。
あんなに大好きなスンちゃんの歌を止めるなんて、普通なら絶対しない。
……でもそれは、絶対に無視できない気持ちがあるからだ。
ここで抑え込んだら……、そしてもう二度と出会うことがないのなら、
きっと一生後悔する。
私は意を決して言った。
頬が、目頭が、顔全体が熱い。
どうか、
どうかお願い、
そう祈る時間が、こんなに長く感じるとは思わなかった。
"これが最後かもしれない"
さっきのスンちゃんの言葉が、まだ耳の奥に残って、心に重くのしかかる。
最後かもしれないけど……
いや、最後かもしれないから、
一欠片も残さず、思いを伝えるんだ………。
急いで家を飛び出したから、ギターはない。
でもそんなことはどうでも良かった。
今はただ、
目の前のあなたに、
通じないとしても、
私の思いが伝われば………。
Where the sea sleeps- by DAY6(Even of Day)
スンちゃんは目を丸くして、でも静かに私を見つめている。
心臓が高鳴る。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。