幽玄side
家に帰ってみれば、
リディアも目が覚めていた。
これは実に喜ばしいことだ。
…それにしても……
事の経緯を説明してもらった。
謎の男に連れ去られ、
戦い、キャパシティオーバーにより
隙を作ってしまい…
みたいな感じで、かなり酷いものだったそうだ。
…その男が、
私と慶太をあの空間に連れて行ったのか…
真偽は分からないが、恐らく正しい。
poxei◆DOON side
どうしてだ。どうしてヴェリスが見つからない。
リディアを乱宅に預けてから、
かれこれ数時間ヴェリスを追っている。
しかし情報も、影も何もつかめない。
…本当にキリがないな……
突然、激しい頭痛が私を襲う。
この感じ…洗脳か!?
ダメだ、頭が回らない…
ヴェリスのため、
絶対に意識は持っていかせない。
全力でその洗脳に抗う。
私一人の力では、弾き切る事は出来ない。
打開策は…やっぱりヴェリスだ。
アイツの力は絶大…
やはり失うべきではない。
不味い、このままじゃ意識を…
思わず僕の素が出てしまう。
怖い。嫌だ。ヴェリスは失いたくない。
ほんとうに、まだ、まだぜったいに…
そう思った矢先、誰かに背中を押された。
同時に頭痛は治り、
混濁した意識は正常に戻った。
この感じ、もしかして…
噂を聞き付けてやって来てくれたのかな。
嬉しい…じゃなくて。
ヴェリスを探さなきゃ…
山の頂上辺りで光を放っているなにか。
…あれは、ヴェリス……?
どうして。
行ってみるしか……
……
山の頂上までひとっ飛び。
光の中に入り、地に足をつける。
眩しすぎるほどの光に覆われたその場所。
腕で光を少し遮りつつ、
その発生源まで歩を進める。
こんなひどく眩しい中でも、
ここにいるのが誰か…すぐに分かった。
光の発生源はここ。ヴェリス。
私は思わず抱きついた。
ヴェリスが中々動かないのは
こういうことだったのか。
彼の足は石になっていて、
それを全身が蝕んでいたのだ。
抱きついたせいで私にも移ってしまう。
なるほど…だがな。
ヴェリスは目を見開く。
涙を流し、鼻をすする。
…
そんな会話をしたのを最後に、
ヴェリスは動かなくなった。
今までに見た事ないほど儚く、
そして裏のない笑顔だった。
本当に君はずるいな…
そんなことを思いながら、
僕の意識は闇に落ちていった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。