ダリが宣戦布告をされたのは、去年の事だった。
冬も深まり、外には雪がチラつく。
そんな風景を見ながら、ダリは廊下を歩いていた。
目の前をゆったり歩くあなたが目に入り、
駆け寄ろうと足を前に踏み出した。
しかし、その足はすぐに止まることになる。
あなたの隣で優しく笑う生徒がいた。
制服からは2年生だと見受けられるが、
ダリにはあまり記憶にない生徒だ。
あなたも楽しそうに笑っている。
ダリはそれが気に食わなかった。
思いを寄せる相手が、異性と楽しそうに話している。
それを見て、楽しいわけが無いだろう。
イラつきを深呼吸で抑え、
貼り付けた笑顔で二人に近寄った。
チラリと生徒の方を見ると、
そちらもこっちを見ていたようで、
怪しく笑う瞳と目が合った。
あなたは生徒に手を振ってこちらへ歩いてきた。
そのままダリを通り過ぎていった。
冷たい目で見やると「ひい、怖いわあ」と
揶揄いかわからないが言葉が飛んできた。
遠くであなた先生が僕のことを呼んでいるので
早く行きたいが、生徒をどうにかしなければ。
その日の昼ごはんは、いつもより味気なかった。
だから、今年の師団パーティで捕まった彼を見て
安心した自分がいたのは自然なことだ。
アミィ・キリヲ。
3年間目立った行動は無く、他の生徒よりも
魔力が少ないのがコンプレックスだった。
師団パーティで学校を爆破しかけたところを
入間くんに阻止され、教師たちに囲まれている。
笑う瞳は一般悪魔とはどこか違う、堕ちた目だった。
捕まるというのに、計画が台無しになるというのに
この悪魔は余裕綽々に笑みを浮かべている。
教師たちは尚更顔を顰めたが、
それを見てキリヲは満足そうにまた笑った。
嫌がらせのつもりだろうか。
堕ちた目が僕を貫く。
何を言っているんだこの男は。
くだらない。
心底呆れたが、同時に怒りがふつふつと沸いてきた。
こんな男と同じ「恋敵」とまとめられるなんて
絶対に許すわけが無い。
拳を強く握りしめ、その場を去る。
そんなことは知らない。
生徒と教師は恋愛ができない。
それに、キリヲは全くあなたのことを分かってない。
僕の歩みは止めないが、彼の口も止まらなかった。
アミィ・キリヲが捕まったと聞いたあなた先生は
少し悲しそうな顔をしていた。
それを見てまたイラついてしまったが、
「大事な生徒だったから」と言うので
好意は無いと確信した。
残念だったな、と心の中でほくそ笑んだ。
我ながら性格悪いな。
というのが、半年前。
先程バラバラにしたイヤリングの調査が必要だ。
先生たちが欠片を回収していくすぐ側で、
あなた先生のことが引っかかった。
それがあの男に向けた表情なら許せない。
僕が一番アピールしてるし、一番大切にしてる。
なのに、なんで。
耳飾りの金属を触りながら、
キリヲは残念そうに笑った。
二人の会話が一つ終わると、
向こうから足音が聞こえた。
二人の仲間と、一人の背の高い悪魔。
バールは満足気にニヤリと笑った。
影で、悪が動き出していた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。