第20話

final story (MB・E )
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2022/05/07 06:47 更新
『...もういっそ、死のうか。』
全てを諦めて、誰かに語りかけるように呟いた。
死んだら楽になれるだろうか。
赤音さんへの気持ちも、あなたへの愛も、
全て、消し去れるだろうか。
全部を消せるのならば、その道を選びたい。
あなた「...そうだね。」
『...あなた...?』
『じゃあさ...一緒に死のうよ。』
『忘れてるだろうけど、私の方が年上なの。』
『1人にさせたりしないよ。』
ココ「なん、で...」
『私に赤音を重ねてるとしても、やっぱり大好きだから。』
『私はココを、ココだけを愛してるの。』
『ココがどうしても追い込まれてるなら、私も死ぬよ。』
ココ「...そういうところが大好きなんだよ。」
『私のこと撃って、後から来てよ。』
ただ、大好きな人が死ぬのは見てられないから。
私は彼を撃てないから。
竜胆「おい待て...正気かよお前ら!!!」
蘭「なーにしてんのっ?」
竜胆「兄貴、こいつら心中...」
蘭「...好きにさせてやろうぜ、竜胆。」
竜胆「...わかったよ。」
ココ「撃ってもいいか?あなた。」
『うん。』
『愛してるよ、ココ。』
竜胆 side
今、目の前で好きな女が心中しようとしている。
俺が止めたところでやめるのだろうか。
九井だけが死んだら彼女の精神はどうなるのだろうか。
九井が死んだら、俺のことを見てくれるだろうか。
彼女はきっといつまでも九井を想い続ける。
彼女は一生、俺に振り向くことはないだろう。
それならばせめて、彼女を楽な道に逝かせてあげたい。
ココ side
"愛してるよ、ココ。"
俺は愛する人を撃った。
彼女は、俺に撃たれて床に倒れている。
うつ伏せになっている彼女を仰向けにする。
やっと楽になれる。
やっと全ての苦しみから解放される。
『...灰谷、今までありがとな。』
竜胆「...ああ。」
蘭「...お前のこと、嫌いじゃなかったぜ。」
『金庫のパスワードは、9911だ。好きに使え。』
『今から逝くからな、あなた。』
蘭 side
あなたも九井も死んだ。
竜胆は好きな女が死んだからか、涙を流している。
竜胆「...兄貴、?」
『向こうで無事に逢えるといいな。』
冷たくなったあなたと、まだ少し温かい九井の指を絡ませる。
九井の血色感のある白い肌が青白くなっていく。
『あなたと幸せになれ、九井。』
『俺のこと忘れんなよ?』
最期まで必死だった九井。
俺はそんな姿を何故か愛おしく思い、彼の唇にキスを落とした。

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