“あなたちゃん、俺ね、幸せだよ”
“あなたは頑張ってるよ、自信を持って。”
side あなた
『悠馬…』
弟が亡くなった。
最後は私と話をしながら、
天国に登っていったのかもしれない。
こんなにも大切な弟を。
私と同じものが弟を殺した。
でも、幸せそうに微笑む弟を見たら、
これでよかったのかも、と
少しだけ思ってしまった。
『お姉ちゃん、失格かな。』
“そんなことないよ、あなた”
声が聞こえる。
振り向くと、
ジャニーさんと隣に悠馬が。
『ジャニーさ、ん…悠馬…?』
“ほら、 YOUの弟もこう言ってるし。
YOUは精一杯生きたらこっちに来なよ?”
本当なのか、嘘なのかわからない。
私の目には確かに2人はいた。
渡「1人で背負うなって。」
この頃の私はまだ知らない。
この男、渡辺翔太が
ジャニーさんや弟と同じくらい
大切な大切な運命の人になることを。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!