今晩は雨が酷かった。
なんで僕が幼児のお守りみたいなことしてるんだろう……
というよりも、まずこの子達の年齢を確認したい。
行動が一桁の子供なんだけど。
18歳児と20歳児と2000歳児と言っても過言では無いよ……なぁに2000歳児って…
こーゆー時こそ、ユン君やシーラちゃんが居て欲しいものだね…
本当に、寝てくれないかな。
そう思った、その時だった。
ピシャンと雷が落ちたのと同時に、感じた。
シーラちゃんの気配が、あまりにもおかしい事に。
ドンドンドンドンドンッッ
今度は彼女の部屋から大きな物音がした。
物が落ちたとかいう大きさじゃない。
………人が、暴れている?
考えるよりも先に、僕らは身体が動いていた。
部屋の前に立つ兵士を押しのけ扉を開こうとしたが、何故か開かない。
中で何か塞がっているのだろうか。
キジャ君が膨張した爪でその扉を無理矢理こじ開けた。
中は暗かった。
眠っているからかと思ったが、布団の中は空。
扉の傍には、彼女の医療器具や薬草が散らばっていた。
物が偶然落ちた、という感じでは無い。
ばら撒かれた……いや、誰かが落とした?
暗闇の中から呻き声が聞こえた。
そこに目を向けると、
部屋の隅で蹲り、頭を抑えて酷く苦しむ彼女の姿があった。
その苦しさの所為か自傷するかのように壁に頭をぶつける彼女に駆け寄り、なんとか壁から引き剥がして僕の身体に寄りかかれるように彼女を抱きとめた。
それでも苦しみは消えないのか、彼女は僕の腕の中で暴れるように頭を抑え振っている。
痛みに顔を歪める彼女の顔色はすこぶる悪い。頬も少し痩けている。
彼女が最近食事を残しがちだったことを思い出し、ぐっと唇を噛む。
もっと気遣っていたら、彼女が今こんなに苦しむこと無かったろうに……!
すると、何か考えていたゼノ君がハッとして突然声を上げた。
思いがけない内容に理解が追いつかないのと、珍しく焦っているゼノ君に驚きが隠せないのとで頭が混乱しているけど、
兎に角シーラちゃんを緋龍城から連れて行かなきゃいけないのは分かった。
落ちていた毛布で彼女を包んで抱き上げ、僕は開いていた窓から大雨の降る外へ飛び出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。