第6話

5
61
2026/09/23 06:03 更新
彼が歩いた後のフローリングには、
一滴の水滴すら落ちていなかった。

濡れた靴底が玄関を汚した形跡もない。


​濡れているように見えるのは、


「そう見えているだけ」なのか?


この世界の物理法則を無視したその異様さに、俺は心の底で、違和感を抱いていた。
???
おー。まあまあ広いね

男は勝手にリビングへ入ると、ソファーにドサッと深々と腰掛けた。


あぐらをかき、クッションを抱いて俺を見上げる。


……なんて傲慢な男だ。
ヒョンジン
ヒョンジン
何だよ、あんた……
ヒョンジン
ヒョンジン
何の用だ?
なんでここが分かった?

俺がそう冷たい声で問い詰める。


男は抱きかかえたクッションに顎を乗せ、
いたずらっぽく目を細めた。
???
匂いだよ。
それと……昨晩、僕のこと見すぎね
ヒョンジン
ヒョンジン
は?
???
隠さなくてもいいのに、笑
それに、君からは僕と同じ『声』が聞こえる匂いがしたからさ。
???
だから、来ちゃった
ヒョンジン
ヒョンジン
出ていけよ……警察呼ぶぞ。
???
呼びたいなら呼んだら?
僕のこと…見えるかわかんないけど
​
男は首を少し傾げ、微笑む。


Next ⏬

プリ小説オーディオドラマ