イベント終わり。
警備も強化されたし、今日は安心——
のはずだった。
楽屋へ戻る途中。
廊下の角から、見覚えのある影。
ころんの足がぴたりと止まる。
「……にぃに。」
声が小さくなる。
あっきぃがすぐ気づく。
「いるのか。」
曲がり角の向こう。
あの日の男性が立っていた。
距離はある。
でも、明らかにこちらを見ている。
「話すだけだから。」
その一言で、空気が凍る。
まぜ太が前に出る。
いつもの静かな雰囲気じゃない。
低く、はっきり。
「これ以上近づいたら通報する。」
ぷりっつは既にスタッフへ合図。
あっきぃはころんを完全に背中へ隠す。
ころんの手が震える。
でも今回は——
「……やめてください。」
小さいけど、はっきりした声。
全員が一瞬驚く。
ころんは兄たちの背中越しに言う。
「ぼく、こわいです。」
男性が一瞬ひるむ。
そこへ警備が到着。
すぐに対応され、連れていかれる。
その場はそれで終わった。
⸻
楽屋。
ドアが閉まった瞬間。
あっきぃが壁を軽く殴る。
「……くそ。」
本気で怒っている。
まぜ太も珍しく感情が出ている。
「二度と近づけさせない。」
ぷりっつはころんの前にしゃがむ。
「大丈夫か。」
ころんは少し震えていたけど、
こくん、と頷く。
「……さっき、言えたよ。」
あっきぃが振り向く。
「うん。」
「ぼく、やめてって言えた。」
声はまだ少し揺れてる。
でも目は強い。
まぜ太がそっと頭を撫でる。
「偉い。」
ぷりっつが優しく抱き寄せる。
「ちゃんと守れたな。」
ころんはぎゅっと3人を掴む。
「でもね、」
顔をうずめる。
「やっぱり、ちょっとだけこわい。」
あっきぃが即抱きしめる。
「当たり前だろ。」
まぜ太が背中をさする。
「怖くていい。」
ぷりっつが言う。
「その代わり、一人にしない。」
ころんがぽつり。
「……にぃにたち、怒ってたね。」
あっきぃが苦笑する。
「当たり前だろ。」
まぜ太が静かに言う。
「家族だからな。」
ぷりっつが優しく笑う。
「でも怒りは俺らの仕事。」
ころんは少し考えて——
にこっと笑う。
「じゃあぼくは、笑う係。」
3人が同時に固まる。
「反則。」
「ずるい。」
「可愛い。」
ころん、照れ。
「年齢詐欺って言ったら泣くよ?」
「言わない。」
「言わない。」
「言わない。」
即答。
ドアの外。
STPRメンバーが静かに言う。
「BNK、強いな。」
守る本気。
守られる強さ。
両方を手に入れた末っ子は、
前より少しだけ、大人になった。
でも溺愛は——
増した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!