第9話

eight
49
2022/04/27 09:00 更新
俺
...終わったぁ
開始してからどれくらいたっただろう。

なんとかレポートを終わらせることができた。
俺
(帰るか...)
PCを閉じ、机の上を片付ける。

ふと外に目をやると、結構遅い時間な上、雨が降っていた。
天気予報...雨降るって言ってたっけか?

傘...

持っているかどうか怪しかった俺は、カバンの中を一通り探してみる。
俺
...あった。
幸運にも、そこには折りたたみ傘が入っていた。
メモ用紙と一緒に...

メモ用紙の内容は、

『今日は夕方雨降るよ〜きっと天気予報を見ていない弟のために、優しいお姉様が傘を入れといてあげよう! 紗英より』

という内容だった。


紗英さえ”というとは見ての通り姉の名前。

面倒見がよく、色々世話を焼いてくれるが、俺は少し苦手だ。


まあ、今回のように助けてもらうことも多いから、強くは言えないんだけど。
―昇降口―

大学の昇降口に出て、折りたたみ傘を開く。
女性
やば、傘忘れちゃった
ふと隣からそんな声が聞こえる。

チラッと振り返ってみれば、身長150cmにも満たないであろう小柄な女性が立っていた。
俺
....
俺
えっと...傘使います、?
女性
え?
普段の俺なら絶対にこんなことしないだろう。

でも...
俺
その服、新作ですよね。最近流行りのブランドの。
女性
あ、あぁ。そうです。
よくご存知ですね。
俺
姉が詳しいので。
目の前に突然、画像を突き出し「可愛くない?!」と言ってきたので覚えている。
俺
濡れちゃったら勿体ないですし、使っていいですよ。折りたたみ傘なので小さいですけど。
女性
じゃあ、お言葉に甘えて。
そう言って彼女は、遠慮がちに傘を受け取る。
俺
じゃあ、また。
女性
あ、ありがとうございます...っ!
彼女の声が、人の少ない昇降口に響く。

その声を背中で聞きながら、PCが濡れないよう庇い、できるだけ急いで駅に向かう。



この行動が、彼女の心を動かすきっかけになっていたことは、また別の話。

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