扇形に広がる椅子。
私たちが座っているのは、本来なら議長が座る場所だ。要するに、扇の付け根部分。
やはり、私たちが魔王ということで、かなり警戒されているみたいだ。
会議の流れだが、私たちの魔国連邦が加盟するための様々な条件が提示された。
一、国際法の遵守
二、経済圏の解放
三、軍事力の提供
大きく分けてこの三つ。
一に関しては問題ない。
加盟国ならば、必ず遵守する義務を負う。
他国の国際法にまで関与するわけではないので、安心できるのだ。
我が国の法案の提出は、リムルへと任せる。
経済圏の解放についてだが、少し問題があるらしい。
私にはさっぱりだが、この世界には“特許”がない。
つまり、真似た者勝ちなのである。
それ以前に、発展しすぎると“天の軍勢”に攻められるらしい。彼らは、完膚なきまでに町を壊すのだ。
だが、別に不便ではない。
魔法も魔道具もある。
以外と、衣食住が満たされていた。
何が問題なのかというと。
ベスターやガビルによる技術発表や、クロベエ達の武具展覧会。それに、“魔導列車”のことも中途半端に漏れている。
そうした技術を盗もうとしたのならまだマシだが、彼らの場合は、私たちと取引をするという名目で軌道の敷設工事を優先するように主張していたのである。
「まずは我がラキア公国へ!」
「何を勝手な!?我がザームンド共和国こそ、魔国連邦の盟友たるに相応しい国ですぞ!」
等々。
議長が宥めてくれなければ、会議はそこで頓挫していたと思う。
私たちを何だと思っているのかは知らないが、便利屋なんかではない。
「あなた殿も、我が国の王子との———」
無視無視。何も聞いていない。
大体、なぜこういう話になってしまうのか。
内心憂鬱な私に、ベニマルからの『思念伝達』が届いた。読み取れる感情は、大分落ち着いて———。
『あなた様、燃やしても?』
——いませんでした。
何となくわかってましたよ、何となく!
『…あなた様が言うなら…』
なんとか引き下がらせ、安堵のため息をつく私。
途中の軍事の話など、当然頭に入らず、今すぐにでも燃やし尽くそうとするベニマルを宥めまくり、今すぐにでもこの『娶る』という名の茶番を終わらせたいという気分だった。
「——以上をもって、ジュラ・テンペスト連邦国の加盟に対する条件とする。何か異論はございますかな?」
こう言うのって、普通は前もって検討させてくれるものらしいが、嫌がらせの一つなのだろう。
こういうのはリムルに押し付——-任せて、私は静かに座っていることにする。決して、押し付けではないことを、忘れないでほしい。
「何か問題があるなら、協議には応じますよ?」
「いえ、何も問題があると言うわけでは……。ただ、少しだけ、リムル陛下の案を検討する時間をいただきたい」
どうやら、私たちが一筋縄ではいかないと気がついたようだ。
議員の態度や、『娶る』という、心が嫌だと喚く言葉にも不満はあるものの、その要求を素直に応じることにしたのだった。
質問とか、考察とか、書いていいよ。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!