ここは校舎裏。
人の声すら聞こえないひっそりとした場所だ。
現在、目の前には妙に落ち着いた雰囲気の爆豪くんと、めちゃくちゃ煽ってくる金髪の男の子が。
あぁ、なんでこんな謎状態に________
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あなた『君の名前はっ?個性も教えて!』
君でクラスメイトの名前と個性を聞くの、最後なんだ!
切島『切島!切島鋭治郎だ!個性は”硬化“!』
言いながら切島くんは身体を硬化させ、両手の拳を突き合わせた。
あなた『へぇ〜、かっこいい!触ってもいい?』
切島『おう、いいぜ!』
その腕に触れてみると確かにガチガチに硬化していて、まるで肌触りの悪い石を触っているようだった。
切島『金石の個性は?』
あなた『あなたでいいよ!私はね______』
切島くんから手を離してバックの内ポケットからあるものを取り出す。
切島『あ、それってさっきのテストの______』
あなた『そう、テディベアのベアちゃん!』
「ベアちゃん、私くらいの大きさになって」と言うと、ベアちゃんは「 モフ 」と言って私の身長___160cmくらい___の大きさになった。
切島『おわっ、すげぇ!』
芦戸『なになに〜っ!』
八百万『モフモフですわ!』
瀬呂『近くでも見ても可愛いなぁ!』
上鳴『50m走で負けた屈辱、忘れてねぇからな!』
するとまだ教室に残っていたみんながベアちゃんにつられて集まってきた。
うんうん、ベアちゃん可愛いもんね!
あなた『ふふっ、それでね!ベアちゃん“入って”!』
上機嫌でそう言うと、ベアちゃんは頷いた。
葉隠『“入って”...?』
尾白『どこに?』
身体にベアちゃんが入り込んだのを感じた。
『『『_________.......、』』』
緑谷『金い____っあなた...の個性は身体の大きさを自由に変えることができるテディベアのベアちゃん、その大きさに上限はあるのか?中はどうなっているのだろうか。戦いや救助の際にどうやって活用したらいいのかな。小さくなって瓦礫の隙間に入り要救助者を探したり、大きくなって瓦礫を退けたり_________って、え、』
何やら私の個性についてブツブツと呪文のように唱えていた緑谷くんもこちらを見て、固まった。
『『『えええええええっ!?』』』
みんなの視線は、私の頭上に______クマの、ベアちゃんの耳に集まった。
耳郎『ケ、ケモ耳生えてる...!』
あなた『なんか生えちゃうんだよね〜、まぁ、特に何か聞こえる訳でもないから意味は無いんだけど...』
芦戸『いやいや、私らには需要ありまくりだから!』
葉隠『クマのあなたちゃん、かわいいすぎるよ〜!』
あなた『へへっ、どうもどうも〜』
主に女子が褒めてくれて特に意味のない耳も愛しくなってきたところで、その耳に何かが触れたのが分かった。
あなた『......ん?』
轟『...すげぇ、ふわふわであったけぇ』
後ろから触れられているので姿は見えないが、声から察するに、触れているのは轟くん。
麗日『...な“、轟くん何して...』
私含めみんな唖然としている中、みんなの気持ちを代弁してお茶子ちゃんがそう問いた。
轟『?触ってる』
轟くんのその長い指は耳の形を確かめるようになぞっていく。
_______あ、やばい、なんかこれ____
あなた『んっ...』
『『『_____っ!?』』』
轟『!?っ悪りぃ』
______え?
なんかいまピクって...てか声出て___
辺りを見渡すとみんな、顔を真っ赤にしてこちらを見つめている。
あなた『___あ“、ぁの、これはちがっ違うの!』
私も顔が火照っているのが分かる。
上鳴『〜っそれはちょっと無理が...』
切島『おっ、俺は何も聞いてないぜ!』
芦戸『とっ...轟いいいいいいい!』
麗日『はわわわっ...』
慌てて否定しても、なんだか時すでに遅しって感じで。
あなた『ごめん轟くん!気にしないで!』
せめて謝罪だけはしておこうと振り向くと、轟くんは「お、」とだけ言って、ドギマギした様子だった。
あなた『〜っほんとごめえええええん!』
なんか純粋そうな轟くんにあんな声を聞かせてしまったことに居た堪れなくて、リュックを手に取り逃げるように教室を後にした。
無我夢中に長い長い廊下をとにかく走って階段を駆け降りると、気がついたら校舎の端の方にいた。
そこは人気もなく、火照った頬を冷ますのに丁度良かったのでズルズルと壁に背を這わせて座り込む。
あなた『_____〜っはぁぁぁ......』
爆豪『おい』
あなた『うひゃっ!?』
誰もいないと思って深くため息をつくと聞いたことのある声が聞こえてきたものだから、間抜けな声が出てしまった。
あなた『ばっ、爆豪くん、なんでここに』
爆豪『追ってきた』
あなた『追ってきたぁ!?なんで____』
爆豪『聞きたいことがあんだよ』
あなた『...?』
先程のこ教室での声を聞かれてしまった人と1対1で会話するのは正直嫌だったが、あまりに落ち着いた雰囲気だったから話を聞くことにした。
あなた『聞きたいことってなに________』
なんだか真剣な話の予感がしたので立ち上がると。
トンッ
あなた『_________へ?』
彼が左腕を壁についた。
所謂壁ドンというやつだ。
爆豪『...てめェさっき逃げただろ』
“さっき”とは、轟くんとの一件だろうか。
あなた『に、逃げたけどこれはっ...』
意外にも爆豪くんの顔は整っていて、間近にそれがあることで私の顔は再度火照った。
そんなに大事な話なの!?
やだ、怖い!
あなた『ちょ、一旦離れて____』
彼の胸板に手を当て、抵抗を示すため押し返そうとした時、コツコツと足音が聞こえてきた。
?『へぇ〜、ここが校舎の端か..._______ん?』
独り言をこぼしながらやってきた金髪の彼は、こちらに気付くと気味悪く口角を上げ『あっれぇ!?キミって確か、A組のアイドルちゃんだよねぇ!?』などと言いながら歩み寄ってきた。
爆豪『あ“ぁ...?誰だてめェどっか行けや』
?『B組の者さっ』
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これは轟くんが悪いのでは...?
いやいや、変な声出した私が悪いんだ。
あなた「爆豪くんは聞きたいことあるらしいからまだ分かるけど、君は一体なんの用があってここにいるの...」
B組くんに顔を向けると「ははっ、決まっているじゃないか」と見下してきた。
いや、決まってないでしょ。
?「A組の偵察、そして宣戦布告さ!」
彼は私から一歩離れると、両手を大きく広げてそう豪語した。
...ただ煽ってるようにしか見えなかったんだけど。
?「やってきたのは元アイドル!学校中でキミのことは噂になってたさ!僕の耳にも当然入った!だからいざ偵察してみればどこにでもいるような女子高生じゃないか!なんだ、キミは目の敵でもな________」
あなた「...君さぁ」
グイッ
力強く彼のネクタイを手前に引く。
?「うわっ!?」
勢い余って彼は右手を強く壁についた。
お互いの顔の距離もグッと近くなる。
ネクタイは掴んだまま、背伸びをして彼ともっと顔を
近づける。
あなた「_____個性、コピーでしょ?」
?「_______っ!?な、なんで知って...」
あなた「ははっ、実技試験の時に私の個性コピーしてきたじゃん」
そう。
たった今思い出したけど、彼は確か実技試験のとき私の個性をコピーして、私と同様に大きくなったベアちゃんでたくさんのロボットを壊してポイントを稼いでいた人だ。
あの時は私がベアちゃんを出している状態でのコピーだったから彼もベアちゃんが出てきたのだろうけど、ベアちゃんが入っている状態の私をコピーしたら、彼はクマの耳が生えるのだろうか。
あなた「ねぇ、私の個性、コピーしてよ」
?「っ!?________...いいさ。キミもバカなことを言うなぁ!敵に自らの個性を知らせるなんて!」
ふふっ、かかった。
彼は私の肩に手を置いた。
すると________
?「さぁ、コピーしたよ」
あなた「_______んぐふっ」
爆豪「ぶはっ!」
やはり計画通り、彼の頭上にはちょこんと可愛らしく
クマの耳が生えていた。
その可愛らしさや言動とのギャップに、私も爆豪くんもつい吹き出してしまった。
?「?一体何に笑って_______っわ、!?」
あなた「ふふふっ、くすぐったいでしょ〜っ!」
すかさず私はその耳に手を伸ばし、先程轟くんにやられたように触れる。
煽られたから仕返しだっ!
彼は小刻みに震えながら必死に声を抑えているようだ。
?「ふっ、っちょ、ほんとにやめっ、やめろおおお!」
気がついたら彼の顔は真っ赤に染まっていて、余裕ぶっこいた姿は見られなかったため手を離してあげた。
変な声出せなかったのは残念だけど...
あなた「ごめんごめん!」
とりあえず平謝りをする。
すると、それが彼の癪に触ってしまったのか。
?「A組の分際で癪なことしてくれるじゃないかぁ!」
あなた「うわっ、!?は、ちょっ、!?」
私の頭上めがけて伸びてきた腕はやはり耳を掴み、優しく表面を撫でられる。
あなた「んっ、ちょぉ、ふぁっ、」
教室で出た声よりもはっきりと、今度は溢れてきた。
やばい、めっちゃ恥ずかしい。
恥ずかしいのに声が抑えられない。
?「〜っ...(これ、やる側も大分恥ずかしいな!?)」
身体に力が入らなくなってきたところで、彼は手を止めてくれた。
?「きょ、今日はここまでにしといてやる!いつかキミ含めたA組を完膚なきまでに倒してやるからな!」
自分がやられたわけでもないのに顔を真っ赤にした彼は、そう言い残して走っていった。
あなた「あ、ちょっと待って!君の名前、教えて!」
物間「___物間、物間寧人だ!覚えとけ!」
彼はくるっと振り返って、私を指差しながらそう言った。
あなた「______そっか、またね物間くん!」
さっきまでの行動は一旦忘れて笑顔で手を振ると、彼は再び顔を赤くして、手を振り返すことはなく去って行ってしまった。
あなた「...ふぅ」
寧人くん...キャラ濃かったなぁ。
なんだか嵐が去ったような気分になり、一息つく。
爆豪「おい」
_________あ“、
そうだ、まだ一息つけなかった。
爆豪「俺との話が終わってねェよ」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。