ー爆豪sideー
『私さ、爆豪くんの爆発好きだよっ!迫力あってかっこいいもん!_____だからさ、』
『あんまり無理しないでね。緑谷くんに負けない程度には頑張ってほしいけどっ!』
俺は無理なんてしてねェ。
デクに負けるなんてあり得ねェ。
あいつの言葉なんて、ただの雑音でしかねェのに。
_____あの時撫でられた手に、酷く安心しちまった。
無個性で、俺よりずっと弱くてずっと下のデクは、どこか俺より上から手を差し伸べるようなやつで。
そして今日、無個性じゃありえねェ記録を出しやがった。
今まで見下してた相手が確かに迫ってきて、きっと俺は
無意識に焦っていたのだろう。
だから_____________
爆豪「...てめェの言葉に、安心したんだ」
あなた「.........ん?」
ーあなたsideー
なんだなんだなんだ!?
爆豪くん、急にしおらしくなりやがって!
”てめェの言葉に安心“!?
どの言葉ですか!?
てかしおしお爆豪くん違和感でしかないからやめて!
聞きたいことは!?質問は!?
早くなにか喋ってくれ気まずくてたまr
爆豪「体力テストん時」
あなた「おっ...ぅん」
え、急に戻った...
突然、いつものトーンで声をかけられたものだから変な反応をしてしまった。
しかし爆豪くんはそれを気にする様子はなかったので、私も無かったことにして話を聞くことにした。
てゆーか、体力テストの時、爆豪くんに言ったことと
いえば_____
爆豪「うぜェこと俺に言ったろ。頭撫でながら」
あなた「“うぜ”っ____...ごめん...」
あぁ、あれか。
やっぱり頭撫でるのはまずかったかな。
出会ってすぐは距離詰めすぎだった?
あなた「で、あれがどうしたの?」
“うざい”と言うだけなら質問にならない。
他に聞きたいことがあるはずだ。
爆豪「あん時、俺に言った言葉____」
__............えー...
あぁ!
あれか!
爆豪「_____てめェ、どういう意図で言ったんだよ」
その言い方には、好感的な意味は感じられなかった。
あなた「............」
あれー!?
頭撫でるのだけじゃなくて、言葉もダメだったの!?
意図...意図ぉっ!?
なんか深く考えずに言った気がする!
あなた「え〜っとぉ...ん〜っ?」
視線を泳がせて目を合わせないようにしつつ言葉を
濁し、うまい言葉を探す。
そのまま言っていいものなのか...?
”緑谷くんへの敵対心を減らしたら爆豪くんが暴君じゃなくなるかも“と思って言ったなんて。
いやダメだ。
絶対怒られる。
でも逆に嘘ついても見抜かれそうで怖い...
あれ、詰んだ?
ー爆豪sideー
目の前にいる奴は、一向に目が合う気配も口が開く気配もない。
んでこいつァ言わねェんだ?
言いたくない理由でもあんのか?
俺はただ、あの言葉に意味があったのか知りてェだけだ。
爆豪「......おぃ、さっさと言え」
あなた「___________...うん」
ずっと泳いでいた視線を俺に集中させ、どこか緊張した面持ちでそいつは口を開いた。
あなた「爆豪くんの緑谷くんに対する敵対心が少しでもなくなれば、君が暴君じゃなくなるかなぁ〜...みたいな...________サーセン。」
最初ははっきりとした口調だったが最後は消え入るようなか細い声で、そいつは言った。
爆豪「____......あ“ぁ?」
あなた「...あの、ほんと、ごめん...」
爆豪「俺がァ!」
あなた「ごめぇん!」
爆豪「俺がてめェなんぞの言葉に影響されるとでも思ってたんかァ!?クソが!」
やっぱこいつァ、深く考えずに言ったんだな。
ーあなたsideー
爆豪くんの手中では小さな爆破が繰り返されている。
まるで大きな爆破のエンジンをかけるように。
やっぱ怒ったかぁ〜!
あなた「ほんとごめんなさい!」
ずっと壁に着かれていた爆豪くんの左腕の下をするりと通り抜け、目的地も決めずに走り出す。
あのままあそこにいたら爆破で私の四肢が飛散する。
考えただけで身が震える。
爆豪「待てやお”ぃ!」
あなた「ぎゃあああ!」
後ろで大きな爆破音が聞こえた。
それから聞こえてくる足音。
めっちゃ追いかけてきてるうううう!
捕まってはいけないと本能が叫び、爆豪くんを撒こうと校舎内に入る。
そしたら爆破も使えないだろうから、あとは脚力・持久力の勝負だ。
あなた「ごめんって!謝ってるじゃん!」
爆豪「デクはライバルでもねェし、俺ァ暴君でもねェし!つーか目ェ見て謝れや!」
あなた「止まったら絶対爆破してくるでしょう聞こえてるよ今も小さな爆破してるでしょ!」
階段を駆け上がりながら荒い呼吸をしながら大声でそんなことを話す。
校舎内の地図覚えてないからどこ行けばいいかわかんないよ!
よし、一旦爆豪くん撒こう!
左足で急ブレーキをかけて右足で右に踏み出す。
そして______
爆豪「待てや!_______っあ“ぁ!?」
あなた「っと」
爆豪くんも角を曲がってきたが勢い余って大回りに曲がってきたのでそれを利用して、キュッと右足で床を蹴り小回りを効かせて爆豪くんと入れ替わるようにもう一度角を曲がった。
爆豪「てめっ...クソがあああ!」
あなた「ごめええええん!」
こんな風に逃げ回っているが、それは捕まったらマズイと本能が叫んでいるからであって、爆豪くんの性格を
うまく丸くさせようと言葉に裏を持たせたのは悪いと思っている。
でも捕まりたくないから逃げる。
あなた「ひぇ...ほんとしぶと______あでっ」
後ろから鬼の形相で追いかけてくる爆豪くんを見ていて前を向いていなかったから、勢いをつけた私の身体は強く何かにぶつかった。
あなた「ぁ、すいませ_______え、」
その肌触りからぶつかったものは服_____つまり人だと
わかって、謝罪するために顔を前に向ける。
すると必然的に顔は見え。
あなた「と、轟くんっ!?」
爆豪「あ“ぁ!?半分野郎!?」
轟「お、金石...」
特徴的な髪に整った顔立ち、そして顔の火傷。
ぶつかった相手は轟くんだった。
え、なんで______
てか気まず。
よりにもよって!
なんで声出させた人とぶつかるの!
あなた「あっ...あー、の...」
爆豪「なに半分野郎見てんだてめェエエエ!」
あぁあそうだった!
爆豪くんの声はもうすぐそこに聞こえた。
あなた「____ごめん轟くんっ」
有無を言わさず私は轟くんの影に隠れた。
すまんね、盾にさせてもらうよ...!
轟「...金石に爆豪、どうしたんだ」
爆豪「てめェに関係あるかよォ黙ってそいつ渡せや!」
さすがの爆豪くんも人を盾に使ったら止まってくれた。
ただ、かなり怒っているようだ。
決して冷静なわけではない。
あなた「轟くん、絶対退かないでね!」
轟「おぅ...?」
うっかり避けられたりしないようギュッと轟くんの服を掴む。
...さて、ここからどうしよう。
目の前には激おこの爆豪くん。
そして状況を理解していない轟くん。
そして爆豪くんから逃げる私。
まず私が出て行くことはないでしょ。
爆豪くんが痺れをきらして突進してきたらどうしよう。
轟くんを軸に回って鬼ごっこするか。
爆豪「なに睨んでんだてめェさっさとこっち来いや殺してやるからァ!」
あなた「え、睨んでた!?ごめん!ところで今の発言はヒーロー志望が言っていい言葉じゃない!」
轟「...金石」
あなた「んっ?」
この状態からの最善の打開策を考えていると、爆豪くんではなく轟くんが痺れをきらしたかのようにこちらを振り向いた。
あなた「どしたの?」
轟「あー...」
轟くんの背から顔を出して目を合わせ言葉の続きを待っていると、轟くんは自身の首に手を回して言葉を濁しつつ目を泳がせた。
さっきの私みたいだな...
轟「さっきはほんと...悪かった」
あなた「_____...あっ、あ〜...」
物間くんや爆豪くんとのやり取りで忘れかけていたが、轟くんのその謝罪を聞いて教室での”あれ“を思い出し、顔が熱くなった。
あなた「あれはっ、ほんと、気にしないでっ!?」
轟「知り合って間も無ぇのにあんな...」
爆豪「ハッ、あいつァ元アイドルとして終わってたぜ」
あ、一応そーゆー常識は持ってるのね!?
てか思い出さないで!?
あなた「もうっ...この話終わり!君たちは教室で何も聞いていない!それじゃっ!」
パチンと手を叩いて廊下に響くくらい大きな音を立てた。
それに2人が小さく肩を震わせ、動きを止めた。
よしっ爆豪くんの怒りもおさまってきたように見えるし、この辺で撤退した方が良さそうだ。
どこにあるか分からない先程の校舎裏を目指して私は走り出した。
リュック置いてきちゃったし...
轟「爆豪はなんで怒ってたんだ?」
爆豪「あ“ぁ?てめェに関係ねェよ」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。