第10話

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2023/06/21 09:16

あなたside.









学校から1人で家に帰れば、
家の前に人影があるのに気づく。

少し遠くから見てもわかる。





少し遠回りして、時間を潰そう。

そう思って歩き出す足を止めて、方向を変える。









風磨 「勝手すぎる。」


10メートルは離れていたはずなのに、
彼の言葉は私に対してのもので…


胸がぐっと押し潰されて、
逃げたいと思うのに足が動かない。



















風磨 「あなた。」


怒った声の理由はわかってる。

誰だってこんなに露骨に避けられたら、
きっと良い気分ではないだろう。









『辛かったよね。』
佐藤くんに言われた言葉を思い出す。



辛くて辛くて、苦しくて苦しくて、
やっと告白して、解放されたはずなのに。



















風磨くんにぐっと腕を掴まれる。

掴まれたところから、熱が広がってくる。





好き。

好き。



好きです。









膨らむ気持ちは、
何度しぼんでもまた膨らんでくる。



『もう諦めてよ』って
何回自分に言ったことだろう。



















腕を引かれて、目を合わせられる。
久しぶりに見た風磨くんは前と何も変わらない。





風磨 「いきなり告白してきて、」

あれ?なんで…




風磨 「話もしないで俺を避けて、」

なんで、風磨くん…




風磨 「考える時間くらいくれたって…」

なんで、風磨くんが泣きそうな顔してるの?









風磨 「避けないで。」

いつも強気でかっこいい彼が、
こんなにも弱々しく私にそう言った。





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