風磨side.
唖然と立ちすくんだ俺を置いて、
君は佐藤と歩いて行った。
その日の夜、君から来たメールは、
『ごめんね。明日から1人で登下校するから。』
一方的に突き放す内容で。
・
次の日の朝は
そのメール通り君は俺の家に来なかった。
学校でも避けられ始め、
君との距離は離れていくばかり。
・
健人 「俺知ってたけどね。」
予想外のあの出来事を友達に相談すれば、
あまりにも簡単に言葉を返された。
風磨 「は?」
健人 「見てればわかるよ。」
風磨 「だったら言ってくれればっ。」
健人 「言ってたら?どうなったって言いたいの?」
いつもふざけた事しか言わないくせに
なんでこんな時だけ、そんな真剣な顔するんだよ。
風磨 「それはっ…こんな風にならないように…」
健人 「告白なんてされないように、釘でも挿しといたって?」
健人の言葉に何も言えなくなる。
・
『これでよかったんじゃない?』
良いわけないじゃないか。
『ずっと一緒に入れるわけじゃないし。』
そんなの…
『本当の家族じゃないんだから。』
あの後、健人から投げかけられた言葉を
1つ1つを思い出しては、
どうして良いか分からず…考え込む。
1人きりの放課後、深く息を吐いて、
帰ろうと鞄を持つ。
人のいない静かな廊下を抜けた時、
窓の外に見えた倉庫裏。
・
風磨 「…なんなんだよ。」
人目を避けたように2人。
君と彼が立っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。